さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

敗北と紙一重だった「捨て身」の闘い 高山勝成、血塗れの防衛

2015-04-23 23:32:56 | 高山勝成



改めて長々と振り返るのも気が重くなるような試合でしたので、簡単に。



初回早々、出鼻から打ちかかるのはよくあることでしたが、高山勝成はその後も、打たれることも構わずなのか、
或いは覚悟の上でなのか、先に手数でファーラン・サックリリンJr.を抑えようとし続けました。

そしてその狙いが奏功している場面もあれば、そうでない場面もあり。
ファーランがしっかり構えて、入ってくる高山に合わせる右クロスやアッパーには、なかなかの威力がありました。
加えて問題なのは、高山の動きが単調になったところに、かなり危ない角度やタイミングで決まっていたことです。

高山がそういうときに、足を使って離れ、巻き戻しのサイドステップを踏み、ファーランの狙いを外せれば良かったのですが、
大半の場面において、その「外し」はかなわず、正確なヒットを喫していたように見えました。

高山のパンチは、左のボディ打ちはそれなりに決まっていたものの、それでファーランを失速させつつある反面、
上へのパンチを強打することは少なく、ラウンド丸ごと手を出し続けても仕留められない三分間のあと、
9回に自らの出血でストップ。
これもバッティングかヒットか判然とせず。タイ陣営はすっかりTKO勝ちだと思い込んでいたようでした。


判定は高山を支持しましたが、さうぽん採点はファーランの勝利。迷う回を高山に振っても86-85でした。
そもそもバッティングによる出血だったかどうかも怪しいなと見えましたが、
そうであっても、私には高山が手数とボディ攻撃で抑えた回より、ファーランの有効打がまさった回が多かったと見ました。


しかし、採点がどうこうという話よりも先に、ファーランの力量と、自らのそれを対比して、
じっくり構えられては難しいから、最初からビジーファイトに持ち込もう、という戦略が、
高山の余裕の無さから来ていると見えて、初回早々から重苦しさを感じました。

結局、自らのスピードやディフェンスの精度が落ちている自覚から、
ああいう無理が見える戦略を採らざるを得なかったのでしょう。
それは自らの古傷が切れることにより、9回で試合が打ち切られた「幸い」にも助けられ、
破局寸前で勝利が転がり込んでくる、という、あまりに際どく、苦しい形での勝利で報われました。

そしてその勝利には、次なる破局へ向けての延命、という意味しか見えてきませんでした。


ある意味、いかにも高山勝成らしい試合ぶりではありました。
勝利を希求し、打って、動いて、また打って、という果敢な闘いぶりは、その燃えたぎる闘志を十全に表現するものです。
しかし、その舞台がホームリングの大阪であることに助けられた苦い勝利は、高山勝成には似合わないものであったのも事実です。


今後組まれる試合と、その試合が闘い終えられたあとの風景が、虚飾を排した、真に輝かしい栄光を
追い求めてきたはずの彼、高山勝成に相応しい、清々しいものであってほしい。
今はただ、そう願うのみ、です。残念な試合でした。

コメント (5)
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