2015.11.8. Sun.
奈良国立博物館 『第67回 正倉院展』
雨の3時過ぎ、流石に人も少なく、ゆっくり観覧。
「本年の正倉院展には、北倉9件、中倉22件、南倉29件、聖語蔵(しょうごぞう)3件の、合わせて63件の宝物が出陳されます。そのうち初出陳は12件です。例年通り正倉院宝物の来歴と概要がわかるような構成ですが、最新の調査成果を反映した内容に特色がみられます。
聖武天皇ゆかりの北倉からは、七条褐色紬袈裟(しちじょうかっしょくのつむぎのけさ)が出陳されます。袈裟は『国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)』の筆頭に掲げられるもので、仏教に深く帰依(きえ)した聖武天皇の信仰を伝える宝物として注目されます。また彫石横笛(ちょうせきのおうてき)・彫石尺八(ちょうせきのしゃくはち)は、石でできた珍しい管楽器で、表面に美しい浮彫文様(うきぼりもんよう)が施されています。天皇のご所用にふさわしい豪華な装飾が特色です。東大寺伝来の紫檀木画槽琵琶(したんもくがそうのびわ)、漆鼓(うるしのつづみ)とともに天平の調べに思いを馳せてみてください。
また本年は年中行事に関わる宝物が多数出陳されます。銀・銅・鉄で作られた大きな針(はり)や赤・白・黄色の縷(る)(糸)は、手芸・裁縫の上達を祈る乞巧奠(きつこうでん)という七夕(たなばた)の行事に使用されたと考えられるものです。紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)は象牙という高価な素材を使用し、華麗な装飾が施されており、天皇に鏤牙尺(るげしゃく)(撥鏤のものさし)を献上する2月2日の儀式に使用されたとの説があります。他に斑犀尺(はんさいのしゃく)、木尺(もくしゃく)も出陳され、様々な表情のものさしを見比べることができます。
ところで、本年は平成21年~24年に宮内庁正倉院事務所で行われた特別調査の成果を示す宝物が出陳されるのも話題の一つです。以前の調査で鯨鬚(くじらひげ)とされていた柿柄麈尾(かきえのしゅび)の毛は猪毛だということが判明するなど、従来の説を覆す結果も今回の調査で得られました。また毛氈(もうせん)類の材質や製法についても新たな知見が得られております。最新の知見に展示品を通じてふれていただくとともに、古代の獣毛の使用法について思いを膨らませてみてください。
このほか蘇芳地金銀絵箱(すおうじきんぎんえのはこ)や密陀絵龍虎形漆櫃(みつだえりゅうこがたのうるしのひつ)に施された流麗な絵画、柿柄麈尾や玳瑁竹形如意(たいまいのたけがたにょい)に施された精緻な細工、琥碧魚形(こはくのうおがた)や東南院古文書(とうなんいんこもんじょ)第三櫃第三十三巻から偲ばれる天平の生活様式や社会など、宝物の魅力を様々な角度からお楽しみください。」
今年の展示は少し趣向が変わっていて、大物ではないが小物の変わり種が数点散見された。
三彩の塔や松露の細工物の付いた帯飾りが印象に残った。
紫檀木画槽琵琶
珍しく筆の出展も有り、「文具三宝」って何だっけ?と調べたところ、筆、墨、硯でした。
細工もさることながら、竹の脂がしっかり残ったつややかな斑竹の輝きには目を奪われた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます