豪州落人日記 (桝田礼三ブログ) : Down Under Nomad

1945年生れ。下北に12年→東京に15年→京都に1年→下北に5年→十和田に25年→シドニーに5年→ケアンズに15年…

不発のピースマラソン   

2001-10-15 21:03:48 | 海外旅行
10月15日(月) 快晴


ピレウス港の豪華船

ピレウスはエーゲ海への玄関です。数々の小説や映画の舞台となったこの港町には豪華な客船やヨットが目白押しです。オリビア号の隣に超デラックスな中型客船が停泊していました。船員は男も女も長身でスリムです。白い制服に金ボタンがまぶしくて、我がウクライナ船員たちも近寄りがたいようです。勇気をふりしぼってエリート船員に質問したら、持ち主はイギリス貴族で、友人と2年がかりで世界1周航海中とのこと。聞かなきゃ良かった。

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    不発のピースマラソン   

11:00 ピレウス入港。小幡Nと市内観光。タクシーでアテネへ移動し、市内見物。パルテノン神殿、旧市街、オリンピック・スタジアムを巡る。タクシーの運転手は陽気で親切なおじさんだった。

ギリシャは多民族国家である。髪の色、目の色が違うし、体格もさまざまだ。大抵のギリシャ人はコーカサイド(白人種)だが、ある人はアラブ民族の、ある人はアングロサクソンの、また別の人は明らかにアフリカ系やアジア人の血が流れている。地中海を支配した古代ギリシャやアレキサンダー大王の遠征による混血によるのだろう。

ギリシャ人は温和な表情をしている。若者は晴れがましく、老人たちは柔和な笑顔をたたえている。

オーストラリアは、アングロサクソンについでギリシャ人が多い。彼らは現世享楽主義的な気質を持っている。

ギリシャ人から聞いた小話。アテネの博物館で古い青銅器を前に案内嬢が「これは今から4526年前の水差しです」と説明した。アメリカ人が感心して「随分詳しいことが分かるもんですな」と言うと、彼女は「この博物館が出来た時に既に4500年前のもので、それから26年たってますから」と答えた。人類の全歴史に対して有史時代のなんと短いことか。更に有史時代に対して人生のなんと短いことか。我々が重大事件と大騒ぎすることも、実は取るに足らぬことが多い。

ギリシャの歴史は10万年前の旧石器時代のマケドニアまでさかのぼる。有史時代のBC766年には第1回古代オリンピックが開催された。BC490年のマラトンの戦いでペルシャ戦争が始まる。その後スパルタとの間でペロポネソス戦争が起こり、敗戦、国力が衰える。マケドニアのアレキサンダー大王のヘレニズム時代、ローマ時代、ビザンチン時代、オスマントルコ時代を経て1829年に独立。しかしその後も戦火が絶えず、イタリアの支配、内戦を克服し、1952年に至り平和を回復した。

夕方「テロ反対、報復爆撃中止」を訴えるピース・マラソンが企画されていたが警官隊に阻止されて実行できなかったとのこと。



読書: 「第三世界の農村開発」 ロバート・チェンバース

コメント
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