非国民通信

ノーモア・コイズミ

要するに美人だから

2010-08-10 22:58:40 | ニュース

うなずき 【美人のもと】(ダイヤモンド・オンライン)

 「あの会社は人を外見でしか見ていない」、「結局美人ばかり得をする」。就職活動をしている人たちがたまに言う。たしかに美人は就職試験に強い。しかし、それは企業側が外見だけで判断しているのではないと思う。それだけなら多くの会社は大変なことになっているだろう。

 では、実際に美人が就職活動で勝てるのはなぜか。それは面接に強いからだと思う。面接でのやり取りが上手なのだ。

 よく「面接で自己アピールはしっかりできたし、言いたいことはしっかり伝わったはずなのにダメでした」という話を聞く。たぶんそういうことを言っている人はうまくいかない。なぜなら就職の面接で重要なことは「言う」ことより「聞く」ことだからだ。主張の前に理解だ。人の話を聞く態度が重視される。つまり面接官が気持ちよく話せたかが重要なのである。

 美人はこれがうまい。聞く時の姿勢、態度である。そのなかでも「うなずき」がうまい。そう、周りを見回してみよう。これは面接のだけの話ではない。美人はうなずき方が上手なのだ。言葉を真剣に理解しようとしてややゆっくり首を縦にふる。そして、理解を微笑みに変える。話しているほうはそれがとても心地いい。

 何というか、いかにもダイヤモンド的な頭の悪さを感じさせる記事です。まぁ、たしかに「美人は就職試験に強い」ところはあると思います。しかし、その理由として「(美人は)面接に強いから」とするのは少なからず同語反復的なところがありますし、ではなぜ面接に強いかと言うと、一応の説明らしきものは書かれているのですが、その説明が成り立つのは要するに「美人だから」ではないでしょうかね。結局は企業が外見重視で人を選び、そして多くの会社の経営状態は大変なことになっているのが実態のような気がします。

 一概に外見による選別がダメと言うつもりはありません。容姿や性的魅力に秀でている人だって、その容貌を磨き上げるのには相応の努力をしてきたはずで、それが正当な評価を得ることは否定されるべきではないと思います。容姿は努力じゃどうにもならない、生まれつきで差があるもので評価を違えるのは好ましくないとの声もあるでしょうけれど、それを言うなら学力だって競技能力だって同じことです。努力すれば勉強ができるようになる、ネームバリューのある大学を卒業できるかと言えば、そこは生まれ持った資質で左右されるところも大きいですし、努力さえすれば誰でもプロ野球選手になれる、日本代表入りしてW杯に出場できるというわけではありません。容姿以外で選別したところで、生まれつきで差があるものを評価基準にしていることは変わらないはずです。問題は業務内容に必要なものを評価基準として採用できているか、ですね。

 引用元では御託を並べたあげくに「つまり面接官が気持ちよく話せたかが重要なのである」と結んでいます。そりゃ美人と話していれば気持ちよいでしょうね。まぁ要するにこれがコミュニケーション能力という奴なのですが、こういう基準で人を選んでばかりいるから会社がダメになるのではないかという気がします。顧客が気持ちよく話せる人であれば、まだ役には立つかも知れません。しかし面接官が気持ちよく話せる人、職場の上司が気持ちよく話せる人を選んだところで、それは職場の偉い人が気持ちよく過ごせる環境を作るのに役立つだけで、決して会社の利益に貢献してくれることはないでしょう。面接官が気持ちよく話せる人を採用するということは、単に雇用側が楽をしたがっていることを示すのみです。

 そもそも美人は「うなずき」が上手いと引用元で語られていますけれど、そう感じられるのは相手が美人だからではないでしょうか。同じような仕草でも好みの美男美女がやるのと、外見面の魅力に欠ける人がやるのとでは印象も異なるはずです。あばたもえくぼ、「ただしイケメンに限る」というわけです。美人やイケメンがやれば「可愛い」「素敵」な仕草も、ブサイクがやれば「キモイ」と思われるものです。「言葉を真剣に理解しようとしてややゆっくり首を縦にふる。そして、理解を微笑みに変える」――この動作は美人だからこそ魅力的に見えるのであって、外見的にダメな人が真似をしても決して評価されることはないのではないでしょうか。結局、会社は顔で人を選ぶ(まぁ能力や人柄なんて、ちょっと面接したぐらいではわかりませんから)、そのことを誤魔化すべく「外見だけで判断しているのではない、美人はうなずきが上手いからなのだ」と言い繕っているわけですが、ではなぜ美人はうなずきが上手いと感じられるのか、それはすなわち「美人だから」ではないのか、ならば要するに外見で判断しているのではないかと、そう思わないでもありません。

 

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8 コメント

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そうですよね~ (えちごっぺ)
2010-08-11 02:00:10
う~ん、いろいろ考えてしまいました。
あの金賢姫も〇サイクだったなら、果たして今の立場があったのだろうか?とふと思ったり、キャビンアテンダントも緊急時の事を考えれば、むさい男の方がいいのではないだろうか?(個人的には嫌ですが・・・)などと下らないことを考えてしまいました。
しかし、一般の企業が能力より容姿を重視していれば、業績が芳しくなくなるのも当たり前です。
このことは、誰もが気付いている「公然の事実」だと思いますが、大きく取り上げられませんね。(ピントはずれですみません・・・)
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Unknown (てつと)
2010-08-11 11:02:07
就活イベントでよく講師役が言ってたのは、正に「人事や役員が『この人と働きたい』と思うかどうかが最後は一番大事」で、なぜなら「そりゃ人事も役員も人間ですから(ニコッ)」っていうのが多かったですね。

これまでに会社に無い新しい感性を持つ人材が欲しい、だけどこれまでの会社にどっぷり使ってきたオジサン世代の感性に合わなきゃ採用しないって、どうすりゃ良いのでしょ。なんて悩む選択肢もなく、後者に合わせるしか無いのが残念です。
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Unknown (シトラス)
2010-08-11 13:25:27
メラビアンの法則自体は似非科学ではないのですが、その本質は「悪口を言われたが表情や口調から冗談だと思った」程度の話で、人の資質を九割見抜けるということではありません。

ただ、見た目が悪いと仕事のスキルを疑われるということで正当化されているわけですが。
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Unknown (AAA)
2010-08-11 13:31:20
美人うんぬんよりも、とにかく記者の頭の悪さを感じました。ここまで同語反復甚だしい記事もめずらしい。

>美人はこれがうまい。

ひょっとして、ここは笑うところなんでしょうか?
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-08-11 14:38:21
>えちごっぺさん

 ハイジャック対策など考えればCAは屈強な男達でも良さそうですね。何せ密室でもありますし。ともあれ能力が見抜けないので外見で選別する、その辺を自覚しないどころか変に正当化しているようだから、なおさら業績は上がらないのではという気がします。

>てつとさん

 『この人と働きたい』と思うかどうか~、とは要するに上司に気に入られるかどうかですよね。「求める人材」としてあれこれ題目が掲げられつつも、結局は相手に気に入られるように努めることが求められる、まぁやってられません。

>シトラスさん

 マレービアン博士の研究に関してはそうですね。それがメラビアンの法則となると元の研究とはかけ離れたオカルトになる、そしてそれがいつまでもありがたがられているのですから頭の程も知れたものです。

>AAAさん

 やっぱり、どう見ても同語反復にしかなっていませんよね。傍目にはお笑いにしかならない記事ですけれど、掲載指摘にはこれが大まじめな代物なのだろうと思うと、色々と薄ら寒いものを感じないでもありません。
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つっこみどころ (kuroneko)
2010-08-11 19:21:50
>そう、周りを見回してみよう。これは面接のだけの話ではない。美人はうなずき方が上手なのだ。

 やー、「銀座のクラブで体験したってだけじゃねえの」とか、2ちゃんねるならずとも一斉にツッコミの入りそうな記事ですねえ。

 まだ、「自分に自信を持っている人は、態度にも余裕がでて、コミュニケーションがうまくいくことが多い」ぐらいの「風が吹けば桶屋」なら、こうまで哂われないでしょうけど。
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-08-11 23:19:21
>kuronekoさん

 周りを見回してみよう、なんて言われても、「おまえが美人を前に鼻の下を伸ばしているだけじゃねぇのか」としか思えませんよね。せめてもうちょっと「それっぽい」ものを書いたらどうかと言う気もしますが、まぁ掲載誌が掲載誌ですから。
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金さんは職業柄 (山田 寿)
2010-08-14 22:00:46
こんにちは。
まあ、人間ですから。
ほんとは、ものすごく難しいけど、簡単なのだと思います。
例えれば、円状態の物質が線上を直線に限りなく近づく運動の法則を理解し、自転車にものれるようになる、とでも申しましょうか。
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