非国民通信

ノーモア・コイズミ

日本は友達だと思っていたけれど、相手からはそう思われていませんでした、という話

2022-04-27 23:32:31 | 政治・国際

ウクライナの感謝動画、日本なし(共同通信)

 ウクライナ外務省が公式ツイッターに投稿した各国の支援に対する感謝の動画に、日本が入っていないことが分かった。松野博一官房長官が26日の記者会見で明らかにした。松野氏は「軍事支援の文脈で謝意が示されたものと推察している。ウクライナ側へ趣旨を確認中だ」と語った。

 

 問題の動画で名前が挙った国は31カ国で、オーストラリア、アゼルバイジャン、アルバニア、ベルギー、ブルガリア、イギリス、デンマーク、ギリシャ、エストニア、エジプト、スペイン、イタリア、カナダ、ラトヴィア、リトアニア、ルクセンブルク、マケドニア、オランダ、ドイツ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロヴァキア、アメリカ、トルコ、フランス、クロアチア、チェコ、スウェーデン、フィンランドと表記は英語ながらキリル文字の順で掲載されていたものです。最後は"OUR FRIENDSHIP IS OUR VICTORY"と相変わらず勝利を追求するメッセージで締められていたのですが、日本が入っていないことで政府も大騒ぎしていたわけです。

 列記すると結構な数にも見えるウクライナの感謝対象国リストですけれど、地図上に当てはめてみると本当に特定の地域に限られていることも分かります。反ロシアで盛り上がっているのが一部の国に止まっているように、ウクライナ支援に熱を上げている国もまた限定的であることを今回の事例は示しているのではないでしょうか。まぁ、日本は100%ウクライナ側に肩入れしてロシアから非友好国認定までもらったのに、リストからは除外されていましたけれど。

 松野官房長官曰く「軍事支援の文脈で謝意が示されたものと推察している。ウクライナ側へ趣旨を確認中だ」とのことで、この後にウクライナから同意を得たことが続報で伝えられています。まぁウクライナからすれば面倒なクレームが入ったので日本側へ「仰るとおりです」「その通りです」等と回答したのでしょう。日本側のクレームが入らなければ、軍事支援云々という区分意識をウクライナ側が持つことはなかったに違いありません。

 言うまでもなく、直接の殺傷能力を持つ兵器だけで戦争が成り立つものではありません。民生品も兵器として転用されることは普通に行われていますし、補給物資がなければ戦線はたちまちに破綻してしまいます。日本がウクライナに送った防衛用装備品や民生用の機器類だって、立派にロシア軍に対する攻撃の役に立っているはずです。日本が行ってきたことが軍事支援でないなどと思い込めるのは、兵站を蔑ろにした大日本帝国の戦争観を今なお継承している人ぐらいでしょう。

 何はともあれウクライナが作成した動画に日本は入っていませんでした。そしてツイッターへ投稿された動画に過ぎないにもかかわらず官房長官が即座に動き出したというあたり、日本側の衝撃の大きさも分かります。日本としては、自分たちは当然のこととして名前の挙った陣営の一員であると信じていたのでしょう。日本はずっと西側の一員、西洋のメンバー、欧米と同列であると自国を評価してきたはずです。しかし当の「西洋」から見た場合の日本はどうなのか、少なくともウクライナからしてみれば言葉にして感謝を伝えたい相手ではなかった、眼中には入っていなかったことが分かります。

 その辺は結局、アメリカなりヨーロッパ諸国から見た場合も同じなのではないでしょうか。日本は自分たちをアジアよりも欧米諸国の仲間であると思い込んできたのかもしれませんが、それが客観的な評価であるかは大いに疑問です。ヒトラーからは名誉アーリア人、アパルトヘイト時代の南アフリカからは名誉白人の地位を与えられてきたのが日本人ですけれど、それが決して白人からの同胞意識に基づくものでなかったことは論じるまでもないでしょう。日本は自国の置かれた国際的な立場を自覚し、もう少しバランス良く立ち回ることを考えた方が良いと思いますね。

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