米国ロサンゼルス市警は23日、27年前のロス疑惑「 一美 ( かずみ ) さん銃撃事件」で殺人罪などに問われ、最高裁で無罪が確定した元輸入雑貨会社社長、三浦和義容疑者(60)を22日午後、渡航先の米自治領サイパン島で一美さん殺害の容疑で逮捕したと発表した。
(中略)
米国では原則として殺人罪に時効はなく、また、日本で無罪になった事件でも訴追することができるが、日本で無罪が確定した三浦元社長の逮捕にこの時期に踏み切った詳細な理由は不明。ロス市警は発表文で「捜査の網をかいくぐってきた殺人容疑者が、ようやく捕まった」としているが、今後、起訴されるかどうかの見通しを含め、報道機関の問い合わせには応じていない。
私の世代ですと、三浦カズヨシと言ったらキングカズ以外にあり得ないのですが、そのカズさんを差し置いてテレビを賑わせているのが三浦和義氏です。還暦を迎えても尚、なぜ氏がキングカズを差し置くほどの知名度と話題性を誇っているのか私の世代にはわかりにくいのですが、ちょっと調べた限りでは、ある種のメディアスターのようなところもあるようですね。まさしくメディアが「作り上げた」わけです。
最高裁の判決が下された頃には、まだ「疑わしきは罰せず」の精神も生き残っていたのでしょうか、今の法廷であったら果たして判決はどうなっていたか、興味深いところでもあります。確たる証拠のないまま、当然のように氏を犯人視する報道機関、個人ブログも多々あるわけです。過去の世論も似たようなものかも知れませんが、世人の見守る中で最高裁が判決を下した今となってはどうか? 法の定めるところを超えて人を罰しようとする情熱の高まりを抑えられない今だからこそ、判決を無視してでもクロと信じたい人が多いような気もします。
ここで問題は、氏が日本とアメリカで、二重に裁かれようとしていることです。あまり公正とは言えませんが、さりとて罰が重くなりさえすれば満足できるのか、疑問を投げかける声は決して多くありません。これがもしアメリカではなく中国なり韓国なりであったなら、反応は大きく異なったでしょうけれど。
日本人が、アメリカで起こした疑いのある事件で、ともすると両国に関わりがあるように見えます。しかし一つの事件で一人の人間を裁くのに、それぞれの国が別々の制度で裁くとしたら奇妙なものです。人権上の明らかな問題がある国の裁判ならともかく、一応の法治国家同士であれば、どちらか片方で済みそうなもので、さてどちらの国が裁くべきなのでしょうか?
日本の場合「属人属地主義」などと言うらしいです。日本人である、もしくは日本国内で起きた事件である、このどちらかの要件を満たせば日本で裁くとか。一方アメリカの場合は「属地主義」だそうで、国籍にかかわらずアメリカ国内で起きた事件を対象とするようです。この基準の違いもあって、三浦容疑者の場合はちょうど、重なり合う部分にいたわけですね。
例えば反対のケース、日本でアメリカ人が事件を起こしたケースなどを考えてみるとどうでしょうか? もしアメリカが日本同様に属人主義であったなら、容疑者の審理がアメリカで進められ、アメリカで無罪判決が出ることもあるのでしょうか? その場合の日本の対応は? 立場を入れ替えて考えてみると、印象も随分と変わってくるような気がします。
日本の情報に飢えていたU―23日本代表のFW平山は米国遠征から帰国後すぐに売店に飛び込んだ。そして目当ての漫画雑誌を探し「ない!」とショックを受けると三浦和義逮捕の記事が1面に載るスポーツ紙を見て「え?」とまたショック。尊敬する横浜FCのFW三浦知良と人違いであることが分かると「ロス疑惑?知らないです。生まれてないもん…」とつぶやき「ここからまた頑張ります」と気を取り直していた。
実は私、ずいぶん以前にレバノンに行ったことがあり、現地の日本人と彼について話をしたことがあります。その人が、日本大使館の人に「もし彼と接触することがあったら、大使館に連絡した方がいいのですか」みたいなことを聞いたら、「そっとしてあげて、現地の人の中で暮らすようにしてあげてください」との回答をもらったとか。真偽は確認できない話ですが、日本政府の公式の立場は、岡本氏の日本送還、日本で裁判ですが、実際には、日本に帰ってきてもらっては困るというのが本音かもしれません。
確かに無茶苦茶怪しいには違いないですが、殺人未遂の有罪は別として殺人罪の方は「共犯者に指示して銃撃させた」という検察なり報道機関なりの推測であったかと。 しかし、肝心の共犯者=銃撃実行犯=が特定できなかったので疑わしきは罰せずにせざるを得なかったのだと。 それは仕方がないと思います。
ひとつ、気になるのは新証拠が出てそれで有罪に十分できるなら、まだしも、一説によれば「アメリカは陪審制なので、状況証拠で極めて怪しければ、新証拠自体は取るに足らなくても、陪審員が三浦氏を怪しめば有罪にできる。 それで逮捕した。」という意見があることです。
(アメリカの法上では問題がないのかもしれないが、三浦氏個人がいかに怪しかろうと、それじゃあまずい気がする。) 今後も要注目。
イスラエルというのも色々と問題があるところですが、イスラエルで下された処罰を無視して日本で新たに処罰しようとなると、何かおかしいような気がしますね。そこは一昔前の日本政府でしたら、下手に物議を醸されるよりも、そのまま現地に潜んでもらった方が望ましいと判断するのでしょうけれど、今の日本政府だとちょっと微妙ですね。猛々しいばかりで無策の政治家が跳梁跋扈していますので、藪をつついて蛇を出すのに躊躇しないと言いますか……
>焚火派GALゲー戦線さん
一事不再理の原則をしっかり運用しないと、結果が気にくわなければ別の国で裁く、みたいなことも可能になってしまいますからね。真相を解明する明確な証拠が新たに見つかったのであれば、それは最新の理由としては無視できませんが、陪審制という日米の制度の違いを駆使すれば……という思惑なら非常に危ういものがあります。日本でも裁判員制度が控えているだけに、これがどう展開するかは注目が必要なのかも知れません。
銃器専門誌で検証記事がありまして。
レントゲン写真とか限られた物証とニュースソースしか材料が無いですし、それ以外の要素は抜きですから有罪無罪とかに関わる話では無いのですが。
とりあえず、ワイドショー等で喧伝される「疑惑(2種類の弾を使った説)」は、物的には妥当性らしいものが無いという結論でした。
私の世代(平山よりはずっと年上ですが)ですとピンと来ない事件なのですが、今になってもこの騒動ですから、当時は相当なものだったのでしょうね。各種報道に対して500件近い名誉毀損訴訟で8割が三浦氏の勝訴、敗訴は僅かに5%と言うことですから憶測による報道の程度が窺われます。