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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

1バレル100ドル時代は安定するか。-Stability of the Era of high crude-oil prices in $100 a barrel.

2008-01-04 02:48:56 | ニュース
lens,align.を開設して間もない頃に取り上げたことがありますが、
原油価格について、何年も前のJim Rogers(クォンタム・ファンドの設立者)の予言が的中しました。(いつか100ドルになる、という意味ではなく、早い時期に100ドルになった)

今回100ドルを突破するトリガーとなったのは、ナイジェリアやパキスタンの政情不安を外因とした投機筋の動向だと言われていますが、ファンドなんて今も昔もミスリードを犯しまくって、世情を混乱させているわけです。闘牛でいえば決してマタドールではなく、自分の利益の為に猛突する抑えのきかない暴れ牛の方です。リスクヘッジの為に潜在的なリスクを外部に及ぼす。つまり投機家の認識では人と牛の立場が逆になる。 個々の最良の判断が、システム全体に深刻なマイナス影響をもたらすことがあるのです。


とはいえ、値上げの根本的な下地は商品相場のみならず、世界的な資源不足への懸念とインド・中国での需要拡大が作っているのだから、投機要因でない非常にリスクの高い安定カオス的な部分が大きいのですね。

ジム・ロジャーズがいくら天才だとしても、3年前の当時から1バレル当たり45-50ドル以上の値上げ(実質的には、サブプライムローンに端を発した大幅な変位が更に一年以内)をマークする時期の予測に際して、e-folding time(システムの可測性の安定時間:それ以降は予想を行う時点での情報が発散してしまい、初期値が役に立たない)としては、もう少し長いスパンを想定していたと思うのだけど、それが仮に予想値よりも早かったとすると、その分だけシステムの不安定性が拡大していることを意味します。さもなければ、今の動向は最初から誰かの筋書き通りだということになります。 事実、産油国や欧米の石油資本は、ある程度長期的な恩恵を得られることになるでしょう。


バイオエタノールが実は温暖化予防に貢献しない、なんて説も出始めていますね。枯渇した油田から微生物でメタンガスを抽出するという動きも今年からありますが、焼け石に水でしょう。備蓄石油の開放も一時的な安定しか齎しません。あくまでカオス系の視点で捉えれば、新エネルギーへの移行が実現しなければ、たとえこの先原油価格自体が値を下げたとしても(現実には2020年頃には150ドル台に至ると謂われている)、現状の社会システムが破綻を迎える確率が高くなる周期が、非常に狭い軌道に集まっていくことになるかもしれません。


<<関連・参考>>

>> lens,align.: Michael J. Mauboussin /「投資の科学」
>> lens,align.: 原油価格高騰 資源を巡るリスクの交換 (2005年2月)


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