lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Louis I. Kahn. - 真層までの距離

2007-02-25 07:13:45 | Science
Salk

(Salk Institute for Biological Studies :画像引用元 >> USC.edu)

>> Greatbuildings.com (L.I.Kahnの建築物)
>> http://en.wikipedia.org/wiki/Louis_Kahn


"I believe that all material is spent light."
『物質は燃え尽きた光です。』

"We cannot seek the truth.
Truth is just revealed,
just revealed through our courses in living."

「私たちは『真性』を探し出すことはできません
 真性は露呈されるのみ。
 生きることを通して、ただ露呈されるのみなのです。」


私が学生の頃熱をあげていたルイス・I・カーンのアーキテクチャー(寧ろ、その建築哲学やアフォリズム)について、最近また勉強し直しています。

コルビュジェ、ライト、ミースの系譜を継ぐ、20世紀最後の巨匠とされるカーンは、モダニズム、ポストモダニズムの何れのスタンスも拒否した孤高の建築家。

ヴェンチューリの、多態化する現代建築を指して曰く「脈絡なき隣接性(Super adjacency)」と「複雑な全体性(Difficult Whole)」(ex. from『建築の多様性と対立性』)であり、その中でカーンは、ある一個のアーキテクチャーの文脈の中に、あらゆる文化の伝統的形質、素材と様式が含有する歴史的なファクターや実効性を省みながら組み込んでいます。

http://www.iimahd.ernet.in/photogallery/campus.htm
(ex.インド経営大学の煉瓦アーチ)

柱は壁から産まれたのだと彼が言うように、理論的原理、側面よりも、「アーキテクチャーの自己生成」というパースペクティブに基づいて、もっと抽象的な概念とビジョンを有していたように思えます。

カーンに師事した日本の建築家、香山壽夫師は彼のデザインに準えてこう語ります。「構造の制約が建築を包む皮膜を作り出し、それで建築は人間を包む形を作る」(ルイス・カーンの特集を組んだ『X-Knowledge Home 2004 Vol.23 -"Architecture for the Truth"』より抜粋。)建築は、あらゆる『面』によって構成され、「人は面を伝う存在」であると同時に、『面は人のトラフィックが形づくる』ということ。一般的に伝統様式を拒絶するモダニズム建築において、彼が古典的な伝統様式を、そのソリッドな面に「侵入」させ、両者の対立を取り払った(あるいは、その反発を利用した)のは、そういった認識に由来するものなのかもしれません。斯様にカーンの建築は、物質化された様々なメタファーの「面」の多層構造を成していて、その中心には、彼がどこから来た人であろうと、伝統と未来の交錯する空間に放り込まれる人が居る。

まだまだ語り尽くせない感があるのですが、浅学な私が「視覚的に好き」な写真を二つ紹介して結びとさせて頂きます。

Salk2_1Dhaka
(引用元:e-Architekt)

上が代表傑作の一つ、『ソーク生物学研究所』。
「コンクリート打ち放し」という手法を、構造上の利点と再現性から捉えた独自のスタンスで追求。研究室を外部に突き出し分節化することで、概念上の個々の研究の相互作用を空間上に顕在化。フィーレンディールトラスで支えた実験室の大空間にダクト類を収容するスペースを設けるなど、視覚的効果に実効性を適えた質実剛健なシステムは、多くのアメリカの病院施設で模倣されました。

『中庭は「空をファザードにすべきだ」というルイス・バラガンのアドバイスによるもの。バラガンはル・コルビュジェの「空も庭である」という言葉に影響を受けている』(新居千秋:談)


一方はバングラデシュ国会議事堂。ドームの天蓋を突き抜けて壁に投影する日光をオブジェとして利用しています。ここでは建築が建築を多重包囲するという極めて異質な方法論が取られています。構造の解説にあたっては、建築家、渡辺豊和氏の説明を以下に引用します。

中心に向かって何重にも壁が同心円状に取り巻いている。(中略)八角形の各辺に当たる部分が一棟づつ分離していて結果として一つの巨大建築に見えるよう工夫している。八角形四辺部は各同形同大の矩形の箱であるが、残りの四辺部分が全て違う形の立体である。(中略)全体としては正方形平面なのだが正方形4分の3分L型がオフィス空間で残余の4分の1が空虚な光庭となっている。光庭部分の壁もL型であり、これに穿たれた大きな鋭角三角形の開口からくるまれた建築が見えていると言う寸法なのだ。この包みが大きなサイズから小さなサイズまで一貫して繰り返されている。小さな部屋をそれより少し大きな部屋が包み更にもっと大きい部屋が包むという具合に最後は外壁が全てを包む。(中略)大から小に至るまでの包み込みはコンクリートでないと出来ず、石造や煉瓦造では不可能なのだ。しかしこの可能性を発見したのはルイス・カーンでありこれぞ彼の独創であった。



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