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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

『WALL?E』

2008-12-08 16:24:46 | 映画
Walle


>> http://www.disney.co.jp/movies/wall-e/


□ 『WALL?E』

2815 A.D.
Desperate EVE
Static
Down to Earth (feat. Peter Gabriel)


Release Date; 05/12/2008 (Japan)

PIXAR/Disney
Director: Andrew Stanton
Writers: Andrew Stanton & Pete Docter
Sound Design: Ben Burtt
Scored & Song by: Thomas Newman & Peter Gabriel


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????29世紀、地球。
地上でたった一人、ゴミを片付け続けるロボット。
彼の名はウォーリー。
700年もの孤独は、いつしか彼に夢と憧れを抱かせるようになった。
『いつか誰かと手をつなぎたい????。』



"WALL?E (Waste Allocation Load Lifter Earth-class)"

ピクサー最高傑作の呼び声高いSFファンタジーだが、設定からストーリー展開に至るまで、細部の悉くが判を押したような王道・定型パターンや名カットのオマージュで凝集されており(ある意味、ここまで愚直に金科玉条を守るシナリオは凄い)、元々望むべくも無かったオリジナリティという点においては現在までの最低ラインを割っている。だいたいご都合主義にも程が・・・


Walleye
「う゛ぉーリィー」

(´;ω;`)ブワッ


泣けた。
心が震えた。

もう最後の方を思い出すだけで、今でも涙腺にジワジワと・・・う、うっ。。゜・。(。/□\。)。・゜ウェェェェ。ウォーリー!!700年もひとりぼっちで。。イヴに出会えて良かったよぅ。゜:(つд⊂):゜。健気すぎる~。どうしてそこまで。゜(゜ `Д)ノ。゜ヽ(  )ノ゜。ヽ(Д´ ゜)ノ゜。。゜ヽ(゜`Д´゜)ノ゜。ウワァァァン!!ウォーリィィィィかわいそうだよぉぉぉ(´Δ´)・・・ooウワーン


・・・コホン。
取り乱しました。

なぜ、予定調和な結末に直走るだけの機械的なシナリオが、これほどまでに感動を呼ぶのか。それは他の何者でもない、ウォーリーが自身の「想い」をただひたすらに貫き通し、ただ一途に成し遂げた必然の過程だからなのです。


Walleve


監督が語るように、この映画の持つメッセージ性や寓意は、「それ」としてわざわざ頭で理解する必要は決してなく、ただ映像を通して心を打つエモーションだけを受け止めれば良い。なぜなら、「人の想い」や「言葉」とは、表層に顕われる「行動」に勝ることがないから。それは、この作品のテーゼである「愛」にこそ通じるファクターなのでしょう。

Walle1


『レミーのおいしいレストラン』は本当に素晴しい出来だったけど、思えば私は一年以上前から、その劇場予告編で初お見えした"WALL・E"君に心を奪われていた。何よりもそのデザイン、子供の頃に最も愛着のあったロボット映画、"Short Circuit"シリーズのジョニー5と瓜二つな体躯を機敏に動しアドベンチャーを繰り広げる勇姿に、童心を突き動かされたのです。


「ジョニー5!?ジョニー5じゃないか!!」

Circuit

『WALL?E』を手がけるにあたり、アンドリュー監督と製作スタッフたちは、その教科書として様々なSFロボット映画を参照にしたそうだけど、ウォーリーの性格や、シナリオの筋書きの大きな基軸として"Short Circuit (ショート・サーキット)"を意識したのは明らか。だいたい予想出来る展開だと思いますが、身体が壊されてしまうくだりは"Short Circuit 2"を思い出しますね。。それに普段からボロボロで今にも停止してしまいそうなハラハラ感が、ラストの凍り付くような緊張感に繋がります。


双眼鏡のような頭部はもちろん、アームやキャタピラのような外見上の共通点は恐らく工学系の基本モデルを参照にしているのか、実は割と普遍的なデザインなのかもしれません。あ、でも眉毛が無いな~と思っていたら、「瞳の中」にあった!!(笑)


"Star Wars: Episode II"にもゲスト出演?していたJohny 5ですが、そのいじらしい性格で、歌やダンス、その他人間の俗世的なものをこよなく愛するウォーリー君は、ジョニー5の生まれ変わりに違いないのです!(力説)ただ酷く無口になってしまったけど、声も変わってなくてホロリ・・・。

ちなみに、ウォーリーの充電完了音にMacの起動音が使われていてビックリ(笑)イヴの白くて滑らかな光沢の容貌はiPodをイメージしているそうです。


Wallemo


ウォーリーの他にも、映画の後半部分に実に表情豊かで多彩な個性を持ったロボットが登場しますが、ラスボスである"Autopilot"の行動原理は"2001年宇宙の旅"のHALに代表される60-70年代の風刺的SF映画に多いロボットの類型で、その外見上の動作や特徴は"Flight of the Navigator (邦題:ナビゲイター)"のパイロットも彷彿とさせます。


Walle_eve


前半部分は効果音付きのサイレント映画という趣向のフィルムで、突如飛来した天使のような女性ロボット『イヴ』と心を通わせる過程が情緒豊かに、しかし的確に描写されていきます。

ウォーリーが自分のコレクションをイヴに持たせるシーンでは、意中の彼女が手にして初めて電球(=宝物)が輝くという描写も象徴的です。


"ストーリーを伝えられるかどうかより、ロボットが会話出来ない面白さの方を取ったんだ。(中略)観客は自分で想像しなくちゃいけない。でも自分の想像が正しいと、その対象との間に感情的な絆が生まれるんだ。"  -Andrew Stanton.


Wallee


その背景となる荒涼とした廃棄都市の相貌は、"Star Wars"の方法論を参考にして書き込まれているそうで、ハードSFとしても十分通用しそうなくらい重厚で圧倒的なスケール感を持っています。それをバックに流れるBGMが、かつての豊穣の時代を謳歌する60年代のミュージカル・ソングという点も狙い所として心憎い演出。

700年の間、彼がひとりぼっちで築き上げてきた無数の「ゴミの城」は、既に過去の文明都市を凌駕するほど巨大化していて、そこにウォーリーの孤独と遥かな郷愁の全てが凝縮されています。(風化していくビル街を再現したかった?)


対照となる理想郷、「宇宙船アクシオム号」の概観は溜め息を禁じ得ないほど「未来の様式美」を結集したものですが、その陰となる薄汚れたアンダーワールドも、ファンタジーのお約束に沿ってしっかりと描写されています。


同じ舞台装置が執拗に繰り返し登場するのも、キャラクターの行動を活き活きと印象付ける効果を上げていますね。見終わった後も場面ごとのシークエンスが記憶に残り、感動を呼び覚まし易い仕様。

宣伝されているほど過剰に泣きを誘うわけでもなく、ド派手なSFアドベンチャーを期待していてもいけない、きっと想像されるより割と中庸で小粒な出来ですが、却ってこれほどまでに純度を高く保って完成させたことを評価。


Walles


700年もの間、広大な宇宙の片隅でプログラムに忠実に使命を全うしてきたオートパイロット達は、イヴと出会うまでのウォーリーの生き写しであり、同類だった。太古の人間は想像だにしなかっただろう奇跡。そんな奇跡に心打たれる人々が沢山いるのなら、そんな人間にとっての「パートナー」の現れに憧れる気持ちがあるのなら、私たちの未来はまだ、暗いと決まったわけではないのかもしれない。



□ 吹き替え版について

主人公の2体のロボットには殆ど台詞らしい台詞は無いのですが、注目して欲しいのは、看板やインジケーターの表示等をCGから徹底的に書き直して「日本語化」した映像。荒廃した都市やハイテクの機器類に漢字が踊る様は、それはそれで全く異なった趣があります。

オリジナル音声では、シガーニー・ウィーバーが『宇宙船アクシオム号』のナレーションを吹き替えています。『エイリアン』シリーズで自身が散々苦しめられた「宇宙船の声」を演じるとは何とも皮肉が効いてますね(笑)



□ 音楽について

映画の重要なキーでもある1960年代の古き良きミュージカル映画"Hello Dolly!"の音楽を手がけたのは、言わずと知れたニューマン・ファミリーのLionel。その甥に当たる現代の名匠、Thomas Newmanが、当時のミュージカル映画から特徴的な素材を引用しつつ、新たにSF・ロマンテイスト溢れる叙情的な楽曲に再構築しています。

「ウォーリー」のモチーフらしきチェレスタの旋律がとても切なくて、イヴとの恋の行方に、「ある決着」を迎える最後のシーンでは胸が締め付けられました。


Peter Gabrielとのコラボレーションも特筆に値しますね。両人ともポップ領域における民族音楽の扱い方を心得たプロフェッショナル。EDロールで流れる「映画のその後」を唄った主題歌"Down to Earth"には、歌詞の中盤で世界観がひっくり返るような叙述トリック(過去と未来、双方に向けたメッセージ?)が仕込まれているので、耳を良~く?てて下さいね!


Wallegoods

世界中でのヒットから日本でのブレイクも見込んだらしく、グッズ展開が凄いです(笑)。案の定、上映終了後には販売ケース周辺に人だかりが出来てました。ゴンドラ上の陳列も、ほぼ『WALL?E』オンリーという力の入れよう。天才ベン・バートの作り出した「ウォーリィー♪」の口真似をする人も少なくなく、観賞後のお客さんの一体感は近年稀に見るものでしたね。

恋人同士ならきっと手をつなぎたくなる。そんなささやかな兆しをくれる作品。劇場を後にして「今度はいつ誰と観に行こう?」そう思ったなら、すぐにスケジュール帳をチェックして!