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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

The Gewandhaus-Quartett : All Beethoven Program.

2008-12-05 08:50:06 | art music
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□ ゲヴァントハウス弦楽四重奏団 
  結成200周年記念ツアー オール・ベートーヴェン・プロ

>> http://www.gewandhausquartett.de/
>> ジャパンアーツ(公演スケジュール


(曲目)

ベートーヴェン
Beethoven
弦楽四重奏曲 第3番 ニ長調 Op.18-3
String Quartet No.3 Op.18-3

弦楽四重奏曲 第9番 ハ長調 Op.59-3「ラズモフスキー第3番」
String Quartet No.9 Op.59-3 "Rasumousky No.3"

弦楽四重奏曲 第15番 イ短調 Op.132
String Quartet No.15 Op.132


Frank=Michael Erben (1st Violin)
Conrad Suske (2nd Violin)
Olaf Hallmann (Viola)
Jürnjakob Timm (Cello)


先日の話に遡りますが、
世界最古の由緒ある伝統を受け継ぐカルテット、ゲヴァントハウス弦楽四重奏団のベートーヴェン・プロを鑑賞して参りました。

身バレを防ぐため会場は伏せさせて頂きますが(笑)、私のところではアンコールに『メヌエット』と『ハープ』が演奏されました。(※2曲目については記憶が曖昧。。セリオーソだったような気も。。。)1809年、ゲヴァントハウス・カルテットの結成された年に作曲されたことを考えると、『ハープ(弦楽四重奏曲第10番変ホ長調Op.74)』の可能性が高いかも。。


1809年に、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を母体として、演奏会用に結成されたクァルテット。過去200年において数多の鬼才・名演奏家を輩出し、歴史的な作曲家や、名だたる現代のヴィルトゥオーソとの競演を重ねてきました。

「模範的で、かつ一つの基準と成りえる解釈」、「卓越した音の美しさ」(‘Klassik heite’)と評される彼らの演奏は、まさに壮麗なタペストリーに音を一つ一つ織り込んだ、一糸乱れぬ融和性と響きの円環そのもの。その持ち味が特に発揮される弦楽四重奏15番の第3楽章‘Molto Adagio’には、胸の奥底まで溶かしこんでいくような響きに落涙を禁じ得ませんでした。 



他にも第3番4楽章‘Presto’の快活さに満ちた切り込みの一体感には圧倒されました。ベートーヴェン最高傑作の一つとも言われる『ラズモフスキー 第三番』については聴き所が顕著で、新参であるオラフ・ハルマンによるヴィオラのビヴィッドな透明感が、ティムの饒舌なチェロのピチカートと相俟って、かつてない新鮮味を吹き込んでいます。第四楽章に入っても調和は全く乱れず、哀愁と劇情の行き交う発展構築的なフーガを堂々と組み上げ、迫力のコーダで締めくくります。


やはりここでも、第一ヴァイオリンであるエルベンの仕事は大きいですね。残念ながら私の席は割と後ろの方だったので、とりわけて彼の音色を拾うことは出来ませんでしたが、かえって演奏の基軸となる発音のきっかけとしての、
高音の見事な抑制とバランスの制動力に圧巻されました。

第2ヴァイオリン、コンラート・ズスケとの息の読みも、まるで機械計算を見るような安定感を漂わせて居ました。彼は、ゲヴァントハウス管のコンサート・マスター(以降、シュターツカペレ・ベルリン、ベルリン弦楽四重奏団を歴任)でもあった偉大な父、カール・ズスケの息子ですね。カール自身、カルテットにとっても節目となる今回のツアーで息子の晴れ舞台を見るため(?)来日しているそうです。



そんなコンラートを見守るが如く力添えするのが、現メンバーでは最古参のユルンヤーコブ・ティム。会場で販売されていたドイツ・シャルプッテンのCDでは、ハイドン『十字架上の七つの言葉』に次いで貴重なゲヴァントハウスSQ音源の一つであるセザール・フランクの「弦楽四重奏曲 ニ長調」(1983年録音)で、カール・ズスケとティム、そしてオラフの師であるディートマー・ハルマンが顔を揃えています。


因みに、GSQはオラフ加入前の2005年、ベートヴェン弦楽四重奏曲の全集をリリースしていますが、カール・ズスケもベルリン弦楽四重奏団としてベートーヴェン弦楽四重奏曲全集の録音を完成させたばかり。



余談になりますが、
実は2000年のバッハ・イヤーに、聖トーマス教会合唱団とゲヴァントハウス管弦楽団による「由緒正しい」『マタイ受難曲』を同ホールで鑑賞したことがあり、今回の公演はとりわけ感慨深いものになりました。

しかし、昨今の管弦楽団をめぐる状況は世界的に冬を迎えていて、つい先日、ゲヴァントハウス管弦楽団も例に漏れずオペラ公演のストライキに踏み切ったという悲しいニュースも。。こんな情勢だからこそ、精神の拠り所としての「芸術の規範」が問われる時代だと思うのに、皮肉なことです。


□ History of The Gewandhaus-Quartett.

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□ The Gewandhaus Quartett /
  Beethoven: "String Quartet in F Major (Hess.34)"


最後にもう一つ、ゲヴァントハウスSQのベートーヴェンを。
これは2005年の録音で、ViolaはVolker Metz。
この曲は、ピアノソナタ第9番(Op.14 no.1)を
弦楽四重奏用に編曲したものです。

動画では四重奏団の歴史が、史料を交えて
わかりやすく説明されています。