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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

HELIOS / "CAESURA"

2008-12-03 11:46:48 | music8
Caesura



□ Helios / "Caesura"

Hope Valley Hill
Fourteen Drawings

Release Date; 11/11/2008
Label; Type
Cat.No.; TYPE042
Format: 1xCD

>> http://www.myspace.com/thesadepicurean


>> tracklisting.

01. Hope Valley Hill
02. Come With Nothings
03. Glimpse
04. Fourteen Drawings
05. Backlight
06. The Red Truth
07. A Mountain Of Ice
08. Mima
09. Shoulder To Hand
10. Hollie


アメリカ、オレゴン州ポートランド在住の音楽詩人、Keith KenniffによるAmbient/Shoe Gazerユニット、Heliosの3rdアルバム。


"Caesura(カエスーラ)"とは、古代ギリシャ詩の中間休止に起源する音楽用語("Helios"はギ神の太陽神の名)で、多くの場合「音楽時間の停止」を意味するものですが、このアルバムの楽曲において、それぞれの終曲が「えっ?!そこで終わるの?」という唐突な断絶が起こる構成が為されています。

荒涼とした寒々しさの中に、一抹の暖かみを感じさせるイラストが施された中折りのスリーブですが、中身はタイトルの「休止」を象徴するかの如く真っ黒。


ジャケットのディスク・ホルダーに"For Hollie"とある通り、"Caesura"は、Keithの妻でありMint Julep名義でのパートナーであるホリーに捧げた音楽散文詩という側面が強く、楽曲の展開も、人の思慕や恋情を反映したかのように変幻自在に跳ね回る印象。



世界中で支持された1stアルバム"Eingya"の牧歌的なアコースティック・アンビエントに、エッジの効いたリズムワークを加味した今作では、Keith Kenniffが別名儀で展開するGoldmundで聴かれた耽美なピアノも主張する他、環境音とミックスされた多彩で複雑な音色が耳を刺激する。

しかし決して暗く重くなり過ぎず、全体では寧ろ、暗愁の中に夕映えを灯す軽快さと躍動感を感じさせるもの。ノイズの陰影を浮かべるプログラミング・ビートは何処か壊れていて、日常の生活、環境の中で私たちの記憶に刻まれた律動と、この上なく符合した響きが心をえぐります。


それは決して自然のままの音色でもなく、楽器の奏でる生々しいビートとも異なる何か。この作品を聴くのに最も適した時間があるとすれば、それはきっと日没前後の数分間。窓の外の暗碧に覆われた部屋、ソファかベッドに深く腰を沈め、遥か隔てた夕雲に見るような連綿と変化する音楽に身を委ねて...

寂寥に打ちひしがれ、一人遠く離れて彷徨うことがあっても、この響きが届くうちは完全に孤独ではないんだ。そんな力強さをくれる素敵な作品です。