ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

テイスティングの儀式

2008年12月06日 | ワインの話

Photo_2 クリスマスの夜、高級レストランを予約する。料理は予め決まっている。若干選択する部分もあるがさほどの問題ではない。しかしポマードで固めた七三分けのソムリエとのやりとりが憂鬱である。
料理の価格に合わせ予算内で好みのワインを選ぶことが出来た。ソムリエさんの解説から話の種も拾えた。
さあ、やっと飲めるぞ。
ワインが運ばれてくる。
「こちらのワインでよろしかったでしょうか」
難しい名前ではあったが、どうやら注文したものに間違いなさそうだ。
「はい、それです」
ソムリエさんは、素早い手さばきでコルクを抜くと、そのコルクを自慢げにテーブルに置く。
さあ、飲めるぞと思うとグラスにちょっとしかワインを注がないで、
「お味見をお願いします」
ワインのテイスティングという儀式が待っていた。
しかし、このテイスティングも要領を覚えれば結構楽しいものである。
注がれたワインはあわてて口に入れない。
まず、ワインの色を見る。濁ってなければ良い。
次に香りを嗅ぐ。ワイン以外の変な臭いがしなくれば良い。
いよいよ、口に含む。これでうがいをしてはならない。
そのワインが好みの温度で持ってきてくれたかを味見すれば良い。
味わいの感想は、彼女とじっくりとやろう。
温度さえ気に入れば「結構です」と答えればよい。
彼女のグラスへ注ぐようにジェスチャーができれば、上出来である。
とにかく自分に注げという態度は辞めよう。
しかしワインの温度が気に入らないことは多いものだ。
「このワインは自分には冷えが足りないから、もう少しワインクーラーで冷やしてください」
「このワインは冷えすぎているから、ワインクーラーに戻さないでください」
と云ったようなことである。
この程度の主張はソムリエさんの機嫌を損ねることではない。
そういう意見を聞くためにテイスティングの儀式はあるのだと心得るべきである。
さあ、気に入った温度で注がれたワインで、楽しいクリスマスを過ごしましょう。
(完)

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