さらなる美食を求め、クアトロの父たちの一行は、テジェヴェなるフランスの新幹線に乗ってパリからリヨンへ向かう。リヨン市の郊外にある世界一のレストラン「ポール・ボキューズ」で食事をするためだ。クアトロの父にとっては生涯二度とない贅沢だ。しかし、20人ほどの団体での食事である。
あこがれのポール・ボキューズに着いた。一軒家のレストランで入口を入るとまず広い厨房がガラス越しに見える。というよりも厨房を見ないと客席に行けない。厨房には、銅製であろうフライパンがいくつもきれいに磨かれてぶら下がっている。とても清潔な厨房で、ここで作る料理はさぞかし美味しいだろうと思わずにはいられない。
奥へ進むと客席がある。幸せそうに食事をしているグループが見て取れる。白を基調にした店内だ。まるで天国で食事をしている人達のように見える。僕たち団体はその天国よりさらに奥へ進み二階へ案内される。二階のフロアーが全て貸切である。
さて、食事が始まった。ポール・ボキューズ・ブランドのワインで作ったこの地方の名物カクテル、キールでの乾杯だ。貸切だから気兼ねなくはしゃぐ我等の団体である。写真も撮り放題である。その後の食事は、初心者向けらしい食事が続いた。世界一のレストランなのだから美味しかったのだろう。今はカクテルから後、何を食べたのかも忘れた。
食後、ポール・ボキューズが挨拶に現れた。この団体でレストラン関係は僕だけだったので、日本のポール・ボキューズを目指す一人だと紹介され、握手をしポール・ボキューズ氏と記念写真を撮った。
すっかり満足して日本に帰る。
数年の時日が過ぎる。
はっと思う。日本人の団体はうるさいから隔離された。料理は、観光客向け。最後に挨拶に出れば良い。うーむ、やられた。気づくのに時間のかかるクアトロの父だ。