ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

トゥール・ダルジャン

2007年09月04日 | 食べ歩きの話

S_7 昨日はお店がヒマだった。息子であるシェフと美食談義。死ぬ間際に、もう一度食べたいと思うものは何だろうという話になった。
バブルの絶頂期、僕はパリの有名なレストラン「トゥール・ダルジャン」で食事をしたことがある。古びた建物に入り、これまた古びたエレベーターに乗りレストランのフロアに上がる。このエレベーターへの通路には、世界中の著名人のサインがある。日本人ではただ一人、昭和天皇のサインがある。天皇にも名前があるのをこの時初めて知った。さすがに有名なレストランと感心しつつ席に着く。窓の外には、ノートルダム寺院がきれいに見える。
ここの名物料理は、鴨料理だ。鴨は餌の内容までこだわって育てたもの。そして、鴨を食べると貴方は何番目の鴨を食べたかというカードをくれる。一羽の鴨から二人分の料理が出来るので、同じ番号の人が二人いることになる。
その鴨の料理はめちゃくちゃ美味しいのだが、父は前菜として出されたキャビアの美味しさが忘れられない。大きな銀のスプーンでたっぷりと盛ってくれたあのキャビアの味は夢のようだった。口に含むと溶けて消えていく。やはり夢なのだろうか。
父の死ぬ間際には、あのキャビアをお願いします。窓の外には、ノートルダム寺院が見えるとなおよろしい。
注・クアトロの窓からは、ノートルダム寺院は見えません。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする