先週,医学部の6年生に対して講義をさせていただいた.私は3年生から講義をする機会をいただいているが,「今はまだ治せない病気に何ができるか」という自分自身にとっても大切な問題を,一緒に考えてみたいと考えている.3年生に対する講義の内容は以前にブログに書いたことがあるが,ALSを題材として講義を行っている.
治せない病気に対し、我々は何ができるか?
続.治せない病気に対し,我々は何ができるか?
当科の初代教授である椿忠雄先生のおっしゃった「治らない患者に普通の意味の医学はだめであっても医療の手は及ばないことはない」という言葉を伝えるのはこの3年生の時である.最終学年の6年生には,まだ治せない病気に対して,基礎研究の立場からどう取り組むことができるのかということを私なりに伝えている.
以下は講義に対して6年生のみんなが書いてくれた感想の一部です(了解もなく引用しますが,名前は伏せていますので勘弁して下さい).自分の進むべき道に対する不安があるものの,素直で純粋で,そして前向きであり,とても感動しました.どうか読んでみてください.心から期待したくなりますよ.
1.悩み
治らないということを患者さんに伝えるとき,私にはまだどのように伝えたらよいのか今は正直わからないです
将来どんな医師になればよいかという心配が強くなっている自分がいる
「医学」というものには限界があり,ある意味において非常に頼りないものだと強く感じ始めています
2.学ぶ
患者さんから多くを学び,それを研究に生かせるようにする
目をそむけることなく,しっかり向き合い,何が苦しいのか,どんな痛みを抱えているのか,どんなことを考えているのか知ることから始めたい
担当させてもらうことになったら,その機会を大切にして,感謝しながら,患者さんから出来る限りのことを学びたいと思う
ベッドサイドに行くことが辛く感じるかもしれないが,できるだけベッドサイドに行き,患者さんの声に耳を傾けたい.患者さんに向かうことから逃げてはいけない
治すこと以外にも医師だからできることを患者さん一人一人について考えていきたい
3.研究
治せない病気には2つのアプローチ,ひとつは病態の解明,もうひとつは(病態を問わず)現状の改善を目指すことがあると思う
珍しい難病だけが研究のしがいがある領域なのではなく,どんな病気でも様々な視点からアプローチできるはず
患者さんに対して真剣に向き合うこと(それは世間一般に求められる「医師」というだけでなく,科学的・学問的な意味でも),そして様々な視点から病気を眺めることでなにか手
がかりがないか考えること,常に疑問をもつことを忘れずに行動したい
医師人生の中で,「研究」という形でも「苦しむ患者さんのために少しでも役に立ちたい」という想いを体現したいと思います
研究も行ってみたいです.少しでも前進することで,医療者自身にも希望が生まれれば,患者さんにも希望を与えることができると思います
4.目指すべきもの
患者さんの気持ちに寄り添いつつも,少しでも患者さんが「生きたい」と思ってくれるようなケアをしていきたい
人が立ち直るためには「3つのT」が必要と聞きました.Time, Talk, Tear.私はまず患者さんとじっくり時間をかけて気持ちの吐露を受け止め,治療に対し,そして人生に対し前向きでいられるようサポートしたい
自分から情熱を持って行動できるような人になりたい
患者さんに再びあったときに,その出会いが感謝できるような医師になりたい
自分がその患者さんを担当させていただいたことに感謝し,後悔のないように行動したい
治せない病気に対し、我々は何ができるか?
続.治せない病気に対し,我々は何ができるか?
当科の初代教授である椿忠雄先生のおっしゃった「治らない患者に普通の意味の医学はだめであっても医療の手は及ばないことはない」という言葉を伝えるのはこの3年生の時である.最終学年の6年生には,まだ治せない病気に対して,基礎研究の立場からどう取り組むことができるのかということを私なりに伝えている.
以下は講義に対して6年生のみんなが書いてくれた感想の一部です(了解もなく引用しますが,名前は伏せていますので勘弁して下さい).自分の進むべき道に対する不安があるものの,素直で純粋で,そして前向きであり,とても感動しました.どうか読んでみてください.心から期待したくなりますよ.
1.悩み
治らないということを患者さんに伝えるとき,私にはまだどのように伝えたらよいのか今は正直わからないです
将来どんな医師になればよいかという心配が強くなっている自分がいる
「医学」というものには限界があり,ある意味において非常に頼りないものだと強く感じ始めています
2.学ぶ
患者さんから多くを学び,それを研究に生かせるようにする
目をそむけることなく,しっかり向き合い,何が苦しいのか,どんな痛みを抱えているのか,どんなことを考えているのか知ることから始めたい
担当させてもらうことになったら,その機会を大切にして,感謝しながら,患者さんから出来る限りのことを学びたいと思う
ベッドサイドに行くことが辛く感じるかもしれないが,できるだけベッドサイドに行き,患者さんの声に耳を傾けたい.患者さんに向かうことから逃げてはいけない
治すこと以外にも医師だからできることを患者さん一人一人について考えていきたい
3.研究
治せない病気には2つのアプローチ,ひとつは病態の解明,もうひとつは(病態を問わず)現状の改善を目指すことがあると思う
珍しい難病だけが研究のしがいがある領域なのではなく,どんな病気でも様々な視点からアプローチできるはず
患者さんに対して真剣に向き合うこと(それは世間一般に求められる「医師」というだけでなく,科学的・学問的な意味でも),そして様々な視点から病気を眺めることでなにか手
がかりがないか考えること,常に疑問をもつことを忘れずに行動したい
医師人生の中で,「研究」という形でも「苦しむ患者さんのために少しでも役に立ちたい」という想いを体現したいと思います
研究も行ってみたいです.少しでも前進することで,医療者自身にも希望が生まれれば,患者さんにも希望を与えることができると思います
4.目指すべきもの
患者さんの気持ちに寄り添いつつも,少しでも患者さんが「生きたい」と思ってくれるようなケアをしていきたい
人が立ち直るためには「3つのT」が必要と聞きました.Time, Talk, Tear.私はまず患者さんとじっくり時間をかけて気持ちの吐露を受け止め,治療に対し,そして人生に対し前向きでいられるようサポートしたい
自分から情熱を持って行動できるような人になりたい
患者さんに再びあったときに,その出会いが感謝できるような医師になりたい
自分がその患者さんを担当させていただいたことに感謝し,後悔のないように行動したい
ブログは記事を書かずすみません.少し余裕がなくなったことと,twitterのほうが断然ラクであること,そして匿名で書いていることが気になってだんだん遠のきました.Facebookを始めてみて,実名で書くことに違和感がなくなって,思い切って実名で書き始めました.でもFacebookのページのほうが明らかに使いやすいので,今後はむじろそちらがメインになります.Facebookのアカウントを作るのは簡単ですので,ぜひ先生も始めてみてください.「いいね!」ボタン待っています.
一人の分子生物学者として頭の下がる思いで読ませて頂きました。
分子生物学の世界から神経変性疾患の研究を行ってきましたが医学生の言葉に少しうるんでしまいました。
何の参考にもなりませんでしょうが研究ノートに書いてある言葉をおくらせて下さい。
願わくば、研究者として
・その学術、研究、知識が生きとし生けるもの全ての為のものになりますように。
・その技術が人の命の為だけになりませんように。
・何時だって小さな不思議を持ち続けられる研究者であれますように。
・終わる事無く壁ばかり与えられますように。
・その壁を乗り越える力を身につけられますように。
・壁がある事に、共に乗り越える仲間がいる事に感謝できますように。
・命あるものへの感謝を忘れる事がありませんように。
・自らの命をもかけられる情熱を失いませんように。
・人として正しくあれますように。
・昨日も今日も明日も新しい日でありますように。
こんなことが書いてありました。
患者さん、医療者、研究者、三人四脚で最後まで闘えればうれしいです。