BMJ誌に掲載された北京大学からの研究で,2021年の世界的疾病負荷研究(Global Burden of Disease Study 2021)に基づき,2050年までのパーキンソン病(PD)の有病率を予測しています.世界のパーキンソン病患者数は2021年の1189万人から,2050年には2倍以上の2520万人(112%増加)に達すると予測されています.図1では1990年から2050年にかけての世界のPD患者数の推移が示されていて,その増加は一目瞭然です.2018年に「世界のPD患者数が増加し,パンデミック状態になる」という有名な論文が発表されましたが(Dorsey ER et al. JAMA Neurol. 2018;75:9-10),見比べるとその増加よりも良い大きいです.

この増加の主な要因は,人口の高齢化が89%,人口増加が20%,有病率自体の変化が3%とのことです(要因の重複や相互作用により合計100%を超えます).特に東アジアは1090万人に達すると予測されており,世界で最も多くの患者を抱える地域となります(中国が世界最多の1052万人,次いでインドが約277万人です).また最も急激な増加率を示すのはアフリカで,西アフリカで292%の増加,東アフリカで246%の増加です.図2では,社会経済レベル(SDI)と年齢別の有病率が示されており,特に中所得国(中SDI)と,60-79歳において患者数の急増が予測されています.

図3では,2050年のPD患者数が最も多い国トップ10を示しています.日本は1990年の8位から2050年の21位に順位は大きく低下しています.患者数でみると,1990年から2021年にかけて約11.1万人から19.9万人に急増していますが,その後,ごく緩やかに増加し,2050年には約21.9万人になると予測されています.他国と比較すると増加のフェーズがすでに終わっているようですが,そうは言っても患者数が減少することはないので,医療や介護の負担は依然として大きな課題と考えられます.予防策や早期診断の強化,さらに患者のQOL向上を目指した包括的な支援が求められます.

Su D, et al. Projections for prevalence of Parkinson’s disease and its driving factors in 195 countries and territories to 2050: modelling study of Global Burden of Disease Study 2021. BMJ. 2025;388:e080952.

この増加の主な要因は,人口の高齢化が89%,人口増加が20%,有病率自体の変化が3%とのことです(要因の重複や相互作用により合計100%を超えます).特に東アジアは1090万人に達すると予測されており,世界で最も多くの患者を抱える地域となります(中国が世界最多の1052万人,次いでインドが約277万人です).また最も急激な増加率を示すのはアフリカで,西アフリカで292%の増加,東アフリカで246%の増加です.図2では,社会経済レベル(SDI)と年齢別の有病率が示されており,特に中所得国(中SDI)と,60-79歳において患者数の急増が予測されています.

図3では,2050年のPD患者数が最も多い国トップ10を示しています.日本は1990年の8位から2050年の21位に順位は大きく低下しています.患者数でみると,1990年から2021年にかけて約11.1万人から19.9万人に急増していますが,その後,ごく緩やかに増加し,2050年には約21.9万人になると予測されています.他国と比較すると増加のフェーズがすでに終わっているようですが,そうは言っても患者数が減少することはないので,医療や介護の負担は依然として大きな課題と考えられます.予防策や早期診断の強化,さらに患者のQOL向上を目指した包括的な支援が求められます.

Su D, et al. Projections for prevalence of Parkinson’s disease and its driving factors in 195 countries and territories to 2050: modelling study of Global Burden of Disease Study 2021. BMJ. 2025;388:e080952.