Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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若年発症脳梗塞の長期予後に影響する因子

2005年01月14日 | 脳血管障害
若年発症脳梗塞の長期予後に関してはこれまでほとんど報告がない.今回,スペインから27年間,272例の若年発症脳梗塞(45歳未満の発症と定義;脳梗塞の原因は極めて多彩)の予後調査の結果が報告された(retrospective study).年齢は初回脳梗塞発症時15-45歳,うち9名(3%)は初回脳梗塞ですでに死亡, 23名(8%)が調査不能であり,残り240名に関して予後調査を施行(カルテないし電話によるinterviewにて調査).うち210名が生存し(88%;経過観察期間12.3年),30名が死亡(12%).平均死亡率は年1.4%だが,初年後は4.9%と高率で,以降は0.9%と低下する(より高齢の症例と比較すると生命予後は良好だが,同年代の健常者と比較するとかなり不良である)また,経過観察できた症例のうち90%はADL自立(しかし47%は仕事復帰不可能).再発は初年度3.6%で,以降は1.7%に減少する.予後不良因子は,35歳以上,男性,心血管系危険因子(AF, DM, 高脂血症,喫煙)の存在,large artery atherosclerosisの存在であった.
 以上の結果は若年発症でも動脈硬化性の要因が強い場合には予後が不良であること,ならびに初回脳梗塞後の死亡と再発が高率であることから,初回梗塞後は,より厳重な管理が必要であることを示唆する.

J Neurol 251; 1507-1514, 2004
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