ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

逆の立場

2013年02月11日 | 思うこと
昨日は、一日中ホールに缶詰めでコンクールの審査員をつとめました。かなりの人数でしたので、こちらもずっと鉛筆を動かしっぱなし。鉛筆の握り方が悪いのか、筆圧が高過ぎるからなのか、最後の方は親指の爪が少し紫になって痛くなってきたほどでした。

コンクールでは審査員が出演者一人ひとりの演奏について、所定の用紙に点数とコメントを書き込みます。次から次へと演奏が終わるたびにその採点とコメントを書き込むのです。採点は順位に直接影響するので大事なのは言うまでもありません。それに加えて私が気を配っているのがコメントです。コメントには、演奏全体の感想、部分的、技術的に気づいたことなどに加えて、ここをこうすればいいのでは?という私の意見、そして、練習する時のアドバイスなどを付け加えたりします。

限られた時間の中ですけれど、私は出来るだけしっかりとしたコメントを書こうと務めています。

それはなぜかというと、逆の立場になれば分かります。私もピアノ教師の一人として、自分の生徒を何かのコンクールに出場させます。出場した生徒はコンクールが終わった後に、その採点とコメントを受け取ります。コンクールに出ると、審査員一人ひとりが書いた採点とコメントをあとで読むことができますす。そのとき生徒自身が、またその親御さんたちが、どれほど真剣にそのコメントを読んでいるかということを私は知っています。そしてもちろん指導している私も真剣に読ませていただいています。

審査員の先生の書くほんの一言がとても貴重です。何か一つでも次につながるアドバイスをいただいたり、切り口の違う新しい視点をコメントで教えていただけると、とても嬉しいものです。また、コンクールの審査はたいてい数人で行います。そのそれぞれの審査員の先生がいろんな観点から思ったことを書きます。複数の違った意見や感想を頂けるのも、参加者やその指導者にとってはとても参考になり楽しみでもあります。
 
審査員の書くコメントはこういう風に大事なものだと思っているので、私自身が審査員を務めるときには、コメントを読む生徒さんとその先生に対して、少しでも参考になるようにと、一人の審査員としての意見や感想を一生懸命書くようにしています。そんなわけで筆圧強く、汚い字になってしまいますが、しっかり思ったことを書く方がいいと思ってやっているのでお許しを!

コンクール審査に限らず、何の場合でも「逆の立場からならどう見える? どういう態度をとる?」と考えてみることは大切だと思っています。ただ一つの立場だけからものごとを見たり聞いたり考えていたりするのは、良くないように思います。いつもできるだけ逆の立場のことを考えて、自分の行動を律しようと思っています。

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コンクール審査

2013年02月10日 | レッスンメモ
今日は丸一日コンクールの審査員のお仕事です。スタート時間が早いので、昨日の夕方からホテルに前泊です。昨日は天気が心配でしたけど、高速道路を飛ばして無事にホテルへたどり着くことができました。

そのホテルで夜、ちょっとテレビをつけてフィギュアスケートの試合を見ました。印象的だったのは高橋選手のインタビューでした。思い通りの結果が出せず、「悔しいと言うか情けないです」と言っていました。

高橋選手はこの競技ではもうベテラン選手といってもいい選手。どれだけの本番を経験してきたことでしょう。どれだけの苦難を乗り越えて強い肉体と精神力を身につけてきたことでしょう。それでも、「練習ではうまくいっていたのに、こんなになるなんて最悪だ」と悔やんでいました・・・。

聞いていてこちらの心が痛いほどの言葉でした。どれだけ、悔しいか。でも、これが勝負。

ピアノのコンクールは、スポーツ競技ではありません。けれども審査員が審査して順位を決めるというのはスケートと同じです。それぞれの出場者が本番で曲を弾きます。それは時間にすればほんの少し。特に小さなお子さんの課題曲は終わってみれば「一瞬」とでも思えるくらいの長さです。けれどもそれをこの場で演奏するために、どれだけの時間を費やして練習してきたか、それが私には想像できるのです。だから出場者一人ひとりに対して敬意を払って、真剣に誠実に審査したいと思っています。あとはとにかく、日頃の力を出しきって欲しいと願うばかりです。みんな頑張って!

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伴奏シーズン

2013年02月09日 | レッスンメモ
毎年秋の合唱コンクールの頃とこの時期になると教室の生徒が伴奏の曲をレッスンに持ってくることが急に増えてきます。学校の卒業式などでみんなで歌う合唱の伴奏です。学校ではあらかじめ希望者に手をあげさせて、オーディションをやってから伴奏者を決めるということが多いようです。そんなオーディションを受けるのに張り切っている生徒が数人います。これから卒業式やお別れの会、そして入学式と、学校行事が目白押しです。そんな学校の集会で歌う曲が色々あるらしいのです。

学校のみんなの前でピアノの伴奏をする。そのためのオーディションに手を挙げる。私は生徒のそんなやる気を大変嬉しく思います。心から応援しようという気持ちになります。

伴奏はピアノソロと違って、歌が主役。前奏はのびのびと弾き、歌に入る手前で歌うみんなに「どうぞ」という気持ちで渡してあげるように弾くよう指導しています。合唱がピアノ伴奏によって引き立ち、気持ちよく歌いやすくなるようにということを頭のなかに入れて弾いて欲しいと思っています。伴奏は相手を思いやる心がなくてはいけません。

伴奏者に選ばれると、自分自身がちゃんと練習してしっかり弾けないと、みんなの歌のサポートができません。そのことが責任感を生んで、一段と練習に熱が入るようになります。そしてみんなから「ピアノが出来るんだ!」と驚かれて自信が生まれて、ピアノがぐんと伸びた生徒が何人もいます。

こうして、年々伴奏のオーディションを受ける生徒の数が増えてくると、最近、学校ではどんな曲がよく歌われているのか、ということが分かってくるようになりました。私が知らなかったいい曲もたくさんあります。レッスン中、生徒の伴奏に合わせて歌っていて、涙が出そうになったこともあります。でも、「仰げば尊し」とか「蛍の光」には、ちっともお目にかかりません。最近は歌わないんですね。時代の違いということなんでしょうか・・・。

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つぼみ

2013年02月08日 | レッスンメモ
今朝はこちら九州でも冬将軍がやってきて我が家の庭にも粉雪がちらちらと舞っています。積もる程ではないのですが寒いですね。バケツの水も凍っていました。そんな中、庭の梅の木につぼみがついているのを見つけました。

 



寒い中、命のエネルギーは確かに活動していて、しっかりつぼみをつけています。地面の方を見ると土の中の球根からも緑が顔を出していました。





寒さに負けず一生懸命に生きているつぼみや球根。春は近いですね。一年で一番寒い時に「春は近いよ」と教えてくれる植物たち。このけなげな姿に心を打たれます。いつも元気づけられます。これからもっともっと庭の植物の息吹が感じられるようになってきますね。

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古くて新しいクラシック

2013年02月07日 | レッスンメモ
リサイタルのプロラムの曲を練習しています。今回のプログラム、ステージで弾くのは久しぶりという曲もあれば、最近演奏した曲もあります。みんな私の大好きな曲ばかりを集めてみました。

どの曲もいつもずっと弾いているというのではなく、一旦タンス(?)にしまっておいて、もう一度出してきたものです。その間にそれまで固まった演奏や解釈を一度空っぽにして、そしてもう一度まっさらな頭に戻して新たな気持ちで曲に向かうのです。

そうすると新たな発見、音の並びの感じ方の変化、テクニック的に新しく開発出来たことなど、いろんな変化があります。バージョンアップするために熟成しているのですから、変化は必然です。

昔から使っている愛用の楽譜をめくると、たくさんの私のピアノの歴史が蘇ってきます。いろんな色やマークや文字で注意書きが書かれています。それらをながめていると「ああ、あの時出来ない自分の不甲斐なさに怒って、緑色でぐるぐるに丸つけたなぁ」と当時のことを思い出します。「この音、もっと響きを!」などと汚い字で書きなぐってあったりもします。その楽譜の作曲家だけではなくて昔の自分とも対話しながら、今度はこう弾こうああ弾こうと試行錯誤しています。運指については、いくら部分練習してもしっくりこないときは、たとえ1週間前でも変えることがあります。

クラシックは作曲家の書いた楽譜通りの音で演奏するものです。いつか、息子が中学生の頃、その当時よりも3年くらい前に流行したポップスを口ずさんでいたので「あら。古い曲ね。3年くらい前のじゃない?なつかしいわ」と言ったら、息子が「は? お母さん、自分は100年も200年も前のやってんじゃん。」と言われて驚きました。確かに古いと言えば本当に古い曲を弾いているのでございます(笑)。

でもその古い曲が演奏によってどんどん進化する楽しみ、これを知ってしまえば、もう古いなんてちっとも感じません。クラシック音楽の演奏はいつも新しい曲への挑戦だと思っています。「古くて新しい」これがクラシック音楽の本質だとも言えるでしょう。そういう意味で私は今回も新しい曲に挑戦しています。

今回のプログラムは皆様もよくご存知の曲ばかりでしょうけれど、皆様にとって新しい感動をお伝えできるような、そんな演奏を目指して励んでいます。

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セミナー無事終了しました

2013年02月06日 | レッスンメモ
後藤ミカ先生のセミナー、大変好評のうちに終了いたしました。私も連弾のお相手役、無事おつとめすることができました。参加してくださった皆様、そして主催者の平和楽器さん、本当にありがとうございました。


主催者の平和楽器様とごいっしょに。

4月には私と後藤ミカ先生のジョイントセミナーを佐賀県鹿島市で開催する予定です。私の担当はピアノ指導者の皆さんを対象としたブルクミュラーのレッスンについてのポイントや曲の解説です。昨年、大分や東京で開催してきたセミナーをさらに進化させてやってみたいと思っています。詳細が決まり次第、また後日お知らせいたします。

さてさて、これから3月1日のリサイタルに向けて、ますます集中していかなければなりません。今日は全国的に寒い一日になりそうですが、私は外出の予定もなく、一日中ピアノの部屋にこもれる事を感謝して練習に励むつもりです。

では皆さま、お風邪など召されませんようにお気を付けくださいませ。

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ブルグミュラーでお国めぐり

2013年02月05日 | レッスンメモ
今日は、大分で後藤ミカ先生の「ブルグミュラーでお国めぐり」連弾曲集のセミナーです。

私はセミナーの中で連弾のお相手をすることになっています。昨日は、我が家で合わせ練習をしました。最初、あたふたとしてしまった私ですが、弾いていくうちにどんどん二人の息があってきて楽しくなってきました。本当におもしろい曲集です。子どもたちが喜ぶわけです。



今日も楽しく弾いてきたいと思います。それでは皆様、セミナー会場でお目にかかりましょう!

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受賞者コンサートを聴いて

2013年02月04日 | レッスンメモ
昨日は、ピティナコンペティションの受賞者コンサートを聴きに行きました。緊張感がみなぎるコンクールと違って、なごやかで晴れやかな雰囲気の中、出演者がそれぞれの持ち味を出して演奏してくれました。聴きごたえのある素晴らしい演奏にたくさん出会いました。衣装も華やかで本当に楽しいコンサートでした。会場に詰めかけたご家族の皆さん方の本当に幸せそうなお顔も印象的でした。自分の子供やお孫さんの晴れ舞台を心から楽しんでいらっしゃいました。

私の教室からも4名出演し、のびのびと弾いてくれたのが嬉しかったです。生徒たちが頑張ってステージで演奏するのを聴くというのは、何という幸せなことでしょう。

 

これからも、たくさん素晴らしい曲と出会って、楽しく音楽してくれることを祈っています。

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左手練習の大切さ

2013年02月03日 | レッスンメモ
左手練習はとても大切だと痛感しています。どうしても高い音に耳がいってしまいがちで、曲を弾き進んで行くうちに左手があやふやになることはよくあることです。

譜読みしたすぐ後ははちゃんと出来ていたものが、だんだん抜けていくのです。右手の、特にメロディラインになっているものは頭の中で歌っているので忘れることはほとんどありませんが、ピアノ曲というのは多声部をもつ音楽であり同時に進行している様々な音の流れを覚えて感じて同時進行で歌っていかなくてはなりません。

一人で何人分もの歌を同時に歌うという、そんな芸当みたいなことをやるのがピアノです。それでも気を抜くとついつい主になる音だけを追って弾いていくことになりがちです。なので、片手練習や各声部ごとの練習はとても大事です。おろそかになっていたところを発見するためにもこれはしっかりやっておかなければなりません。

左手練習をするときには、右手の音を意識しながら、それを頭のどこかで鳴らしながら、左手の音を聴くという事をします。難しいけど、生徒にもトライしてもらいたい大事なことです。

譜読みがすんで気持ちよく曲が弾き進められるようになってからの左手練習が大切だと、生徒にも自分にも、言い聞かせています。

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一回転

2013年02月02日 | Weblog
すごく有名なことらしいので、皆さんすでにご存じかもしれません。私は昨日まで知りませんでした。

パソコンで Google の検索画面で「一回転」と入力して検索すると・・・、あ~ら不思議!! なんと画面が勝手にそのまま一回転してしまうじゃありませんか、これにはほんとにびっくりしました(@_@)

グーグルの会社の人も日々プレッシャーの中でお仕事されてるんでしょうけど、こんなお茶目な仕掛けを忍ばせてたりして、遊び心を大事にする会社なんでしょうね。きっとスケルツァンドな会社かも(笑)。

早速、夫に知らせると、悔しいことにもう知っていて、逆に「『斜め』という言葉を入力して検索してごらん」と言われました。するとこれがまたオモシロイ! まだご存じでない方は是非お試しください。

忙中閑あり。忙しい中でもこういう遊び心を持ちながら仕事に臨みたいものですね。

※ちなみにスマホでは「一回転」はしないようです。「斜め」の方は微妙にしてるかも。

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スケルツォ第2番

2013年02月01日 | クラシック豆知識
3月1日のリサイタル、プログラムの三曲目はショパンのスケルツォ第2番です。ショパンはスケルツォを全部で4曲作曲していますが、中でもこの第2番は最もポピュラーな曲でしょう。

この曲の出だしのところ、とても印象的な「囁くような声(ソット・ヴォーチェ)」とそれに続く大げさでもったいぶったフレーズの掛け合いが登場します。ショパンはこの掛け合いを「質問と応答」だと弟子に教えたそうです。その後も繰り返し登場するこの掛け合いと、それを取り巻く流れるような劇的な旋律の美しさはショパンならではのもの。ここでショパンが思い描いていた問いとその答え、そしてそれを取り巻く情景とは一体どんなものだったのでしょうか? 美しく劇的ではあるけれど、どこか一筋縄ではいかない、若きショパンの冷めたまなざしが感じられる作品です。

手持ちのCDやYouTubeなどで色んなピアニストの演奏をチェックしてみましたが、一番ユニークで面白いと思った演奏がカツァリスの演奏です。この演奏を聴いた時は、衝撃でした。若い頃から弾いてきたこの曲、私はもっと大上段にかまえて大きくて深刻な曲ととらえていたのですが、カツァリスは、「これ、こんな風にね!」とウインクでもしそうなほどの余裕の演奏です。そもそも「スケルツォ」というイタリア語は「冗談(ジョーク)」という意味です。そして「スケルツァンド」という楽語は「気楽に、戯れるように」というほどの意味。カツァリスの演奏を聴くと(観ると)、なるほど「スケルツォ」というのはこういうことなんだと改めてよく分かる気がしました。

というわけで、カツァリスの解釈や演奏ぶりはやり過ぎか?と感じないわけでもないのですが、根底に「スケルツォ」らしさを醸し出しつつ、私自身、これまでとは違った「スケルツォ第2番」を完成させていきたいと思っています。

Scherzo No.2 op.31 Cyprien Katsaris


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コメント (2)
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