ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

札幌交響楽団が地元にもたらしたこと

2017年09月05日 | レッスンメモ
最近ピアノの先生仲間で時々話題になるのが、北海道の生徒さんたちの活躍ぶりです。言われてみれば色んなコンペの全国大会で北海道の子供たちの活躍が目につきます。私たち九州組は「やっぱりクラシックは寒いところの方が向いてるのかしら」とか、「ピアノの場合は家の広さとか騒音問題とかが関係するから、北海道って有利なんじゃないの?」などと、ピーチク、パーチク、井戸端会議に花が咲きます。

そんなある日、ある人が「こういうことも影響してるかもね」と言ってあるインタビュー記事の一節を紹介してくれました。記事は1年前のものだし、演出家の平田オリザ氏と舞踊家の金森穣氏の対談で、クラシック音楽についての対談ではないのですが、その中で平田オリザ氏が、地方都市における芸術文化の振興という文脈の中で、札幌交響楽団の例をあげて、さらっとこういうことをおっしゃっているのです。

「札幌交響楽団がプロ化したときに、ガチで団員のオーディションをしたら、東京から受けに来た人ばかり合格になって、市議会で問題になったそうなんです。『なんで自分たちの税金を使ったのに、地元の演奏家が入らないんだ』と。ところが20年経ったら、札幌からの東京藝術大学への進学率が5倍ぐらいになった。要するに、クラシックの演奏家は個人で弟子を取って教えるから、札幌に移住してきた団員が教えた、優秀で若い子が育った。それでも成果が出るまでに20年かかったんです。」

へー、なるほど! と感心しました。そのまま鵜呑みにしていいお話なのかどうか実際のところは私は知りません。もっと他の要因がたくさんあるのかもしれません。だけど、話しとしてはとても合点がいくし、私など、これこそ地方に芸術文化を根付かせる最良の方策じゃないかと思ったりします。地元に、若くて優秀なプロの演奏家が目指す、魅力的な職場があるのとないのとでは大違いでしょうから。冒頭に書いた北海道のピアノキッズたちの活躍も、もしかしたら札響の活躍によるクラシック熱の高まりが、その遠因としてあるのかも知れないなあ、と思った次第です。


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