ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

運指を考える

2013年03月12日 | レッスンメモ
私たちは片方5本の指、両方合わせて10本の指を駆使しながら88の鍵盤を弾いています。どの指を使ってどの鍵盤を押すか、その指の使い方にはそれぞれいろんな工夫ができます。要するにいい音が出ればいいわけなので、どの指でどの鍵盤を押さえようとかまわないという考え方もあります。あんまり運指のことを画一的に堅苦しく考えず、いかに良い音を出せるか、自分で工夫して最も効果的な運指を見つけることが大事です。

それでも基本はやっぱり大切です。習い始めの初心者は、運指のルールが身についていないのでとりあえず楽譜に記されているとおりの運指で弾いてもらいます。放っておくとドレミファソを23235などと、いきなり小難しい指使いでお手手ぐりぐりになりながら弾いたりするからです(すごくかわいいけど)。

それから、ハノンなどのように指を動かす訓練のために作られたものはその指示通りの指使い(運指)で弾くべきです。これはそういう風に指を動かすということが目的の練習曲なのですから当然です。

こういう段階を経た後に、さらに曲を弾いていく上で自分なりの運指を考え直していくことがとても大切になってくるのです。

同じ曲の中の同じフレーズでも、人によってスムーズに弾きやすい指の組み合わせが異なることがあります。手の大きさ、指の強さ、柔らかさ、それにテクニックなどがそれぞれ違うので、指導する側としてはいつでも誰にでも画一的な運指を押しつけるわけにはいきません。何度も思考錯誤しながら、生徒と一緒に指使いを決めていきます。同じ曲でも生徒によって運指が違うということが出てきます。

同じ生徒でも身体の成長やテクニック、表現力の成長に応じて、運指を変えて行くことがあります。以前弾いたときはこうだったけど、ここはちょっと変えて、こう弾いた方がもっとしっくりするなということはしばしばあることです。

また、その曲の曲想によって、フレーズによって、わざと便利ではない指使いをする方が効果的な場合もあります。強さが欲しい時にはわざと弾きにくくても1の指を使ったり。また、5の指を使ったすぐ後にもう一度5の指を使うという指示が楽譜にわざわざ書いてあることもあります。指は5本あるのに、5の指を使ったすぐ後にまた同じ5の指を使うのは、普通は禁じ手。でも、作曲者がわざわざそこでそういう指使いをして欲しいと指示している場合はそこにどんな意図を込めているのか、思いを巡らせる必要があるところですね。

まずはきちんと基本を押さえた後に、音楽と対話しながら、それぞれの音楽に合った、そして自分の身体にあった指使いをみつけて行く、これは奥が深いんです。生徒も私も現在進行形

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