本項、「初冬の一時」と題して、12月10日に記載した文化考、「西大寺、春日大社、東大寺」を訪れた稿を記載したが、東大寺で拝見し、思わず瞑目した`大仏様`の写真を此処に収める。
`奈良’の大好きな我が妻君は、僕と一緒になってから何度も奈良を訪れたと宣(のたま)う。が、僕と一緒に訪ねたことはない。何故なのだろうか、と思わないでもないが、それはともかく此の大仏様は一人座して僕達を含めてはるか彼方のこの世を見遣っている。此処を訪れる諸氏はただ頭(こうべ)を下げて瞑目するのみ。そして僕は改めて奈良を訪ねたのだと感じるものがあった。
「奈良」。此の二文字を書き留め改めて見遣ると、僕の何処かに何かがうごめいていてそれは何だろうと、思わず遠くを見遣ることになる。