この水庭を囲い込む塀に沿って迂回し、トンネルを通り抜けて大仏を仰ぎ見ることになる。水底には天空の様が映し出され、言わば鏡のようだ。此の水庭、「結界の意味が込められており、参道をまっすぐ進まずに、この水庭を迂回することで、水で心を清め、日常から非日常へと心を切り替える」との一文がパンフレットに記されているが、その想いに得心する。
処が僕達の前を歩いていた中年の男性がふと立ち止まったものの、意を決したようで、此の水庭を正面のトンネルに向かってゆっくりと歩き始めた。水が浅くて靴が水没せず、此処を歩くのもそれなりに趣がある。でも僕達は、水底の周りの狭い通路を歩く。そしてトンネルへ・・・「結界」。安藤の意を汲むのだ。
<明日から奈良に行く。何年ぶり(あるいは何十年ぶり)のことかと思い起こそうとするが、その年月か浮んでこない。社寺とともに、歩き巡った田畑や山林の様が微かに浮かんで来るのだが!時の経る事に想いを馳せる>