日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

森一郎教授の「ニーチェ」 にトライ

2017-03-19 21:28:02 | 日々・音楽・BOOK
文庫本「愉しい学問」(講談社刊)をお送り下さった東北大学´森一郎教授`のトークショーを拝聴した。
この3月18日(土)、東京駅八重洲口を出た道路の向かい側、八重洲ブックセンター8階のギャラリーである。本のカバーは、仙台の写真家小岩勉さんの、広瀬川で遊ぶ子供たちの姿を撮ったストイックなモノクロ写真で構成されている。数年前に小岩さんと共に、東北各地の広大な被災地巡りをした折、この写真を撮った処で被災の様相を見て、コトバが出なかったことを想い起こした。

この507ページに渡る分厚い本には、詳細な訳注と、「訳者あとがき」とした森一郎教授の綿密な論考が記載されているが、まずこの冒頭の序文を一読することから僕の読書がスタートした。そして彼方此方に傍線を引くことになったものの、この序文もまた貴重な読み処なのだ。

森教授が東京女子大学(東女・トンジョと呼称)に在任時代、A・レーモンドの設計による東寮と体育館を何とか残したいと、トンジョのOG連と共に活動をしたものの残すことができなかったことを想い起こす。

この度のギャラリートークには、そのときの東女OGの方々が数名在席されていた。お互い笑顔で思わず握手をしたりすることになった。そして、おそらく終生、僕の心のどこかに東女でのそのときの保存活動の経緯が留まっていることに気がついた。
森先生の講話をお聞きした後、ブラ歩きをしてOGの方々と昼食を共にする。

この一文を起稿しながら『喪われたレーモンド建築』と題した、『なぜ残せなかったか?』とサブタイトルのある著書を本棚から取り出して久し振りに観ている。僕が寄稿した「不条理と戦う考」と題した一文を読み返したりした。
その表紙には、『ホンモノは、「残さないでよかった」ことは一度も無く「残してよかった」か「残せばよかった」しかない』と記された東女のOG、作家永井路子氏の一文が記載されている。