日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

吐息をつくマリリン・モンロー

2013-04-06 17:00:49 | 日々・音楽・BOOK
満員電車の座席に腰掛け、そうだなあ!とか、ほう!参ったなあ、などと内心つぶやきながら、小島武の装画・挿画のあるエッセイをのめりこむように読みふけっていた。沢木耕太郎の「ポーカー・フェース」である。

ふと眼をあげると目の前にマリリン・モンローがいる。アンディ・ウオーホルのマリリンは、ちょっぴり横を見て笑みを浮かべているが、このTシャツに描かれたマリリンは眼を閉じているが、やはり心なしか微笑んでいる。

顎を上げて上を見やると、化粧が濃くきつい顔立ちだが,目鼻立ちがしっかりした妙齢美女。キッと前を見据えていて微動だにしない。
ため息が出て、一瞬だけど尾崎豊が出てきて僕の心が震え、思いがけなく涙が出てくる一節を読みながら、いつのまにか眠りこけてしまったらしい。

眼を開けたら目の前のマリリンが吐息をついている。オヤっと思ってうえを見やると、つり革に身をゆだねて美形が眠りこけている。
眠るとお腹の上ほうで息をつくのだ。Tシャツで覆われた息を吐くたびに覆われた肌の様が浮かび上がり、それを受けたマリリンの表情も悩ましく僕に何かを呼びかけてくる。参ったなあ!と思いながらそれでもいつの間にか眠り込んでしまった。

ふと目をあける。果てさてなんと幻か、マリリン・モンローは消えていた。