日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

瀬戸内海の守護神

2010-09-19 15:15:35 | 建築・風景

9月はじめの日曜日の朝、ANA585便で松山に向う。
客室乗務員の笑顔は変わらないが、ふと飛行機に乗るワクワク感がなくなったと思った。新聞がなくなり、飲み物のサービスもない。チケットがバーコードになりマイレージ入力はするものの、チェックインもなし、搭乗口には出発の15分ほど前に行けばよい。
十数年前にワシントンに行き、シャトル便でNYへ移動したときに、何のサービスもなく、乗務員も男性だったりしてこれはバスと同じだと思ったものだ。

乗務員は日に数回のフライトをする。バスというよりいまの国内便は小田急線のロマンスカーや新幹線、そんな感じ。でも僕は飛行機に乗るのが好きだ。国内便は高度が低く、窓から下を見ると雲の合間から町並みや走っている車が見える。そこには人の気配がある。

このフライトでは、瀬戸内海の上空を飛ぶ。
四国を訪れる度に感じ入るのだが、山が面白い。砥部の建築家は四つの国は人の気質も違うが山の姿も違うという。愛媛は高い山脈が連なっていると。
そうとも思えるが、それでも樹は茂っているとはいえ、伊豆の大室山のように形のいい小山がその山脈を背景にしてぽこぽこと立っている。本州にはない光景だ。

瀬戸内海の小島はその小山だ。
おやっと思った。
その小さな島の上に、小さな雲が留まっている。
光背いや頭光、島を見守る守護神のように見えた。その下にこじんまりとした集落がある。フーッと大きな息をつきながら見入った。

左手に海に向っているエヤポートが見えてきた。こんなに短くて飛行機が止まれるのか?と思ったら松山空港だった。まさか!
上空から見ると距離感がわからない。
ぐるっと旋回して街をかすめて陸地側から海に向って降下した。ショックがないグッドランディング。
四国の二日間が始まる。