日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

飛んできたブラジルの酒ピンガ「CACHACA51」

2008-09-23 09:28:13 | 日々・音楽・BOOK

ブログに「ボサ・ノバ」を書いた翌日、事務所に宅急便で背の高い箱が届いた。送り主はB・RAFAEL。
はて?そして、もしかしたらと思った。あの留学生かもしれない。
お酒らしい。封を開けると現れたのは「CACHACA51」。なんとブラジルの酒ピンガではないか!
ジャズ・ボサの名盤`GETZ/GILBERTO`を聴きながら、ピンガがあると更にブラジルの風を感じ取れるのにねえ、と思ったらピンガが舞い込んだ。僕の想いに応えようと急いで飛んできたような気がする。

日本語はつたないが、心のこもった短い手紙が同封されている。
「・・今私は修士論文を終わりました。もうすぐ帰国します。兼松さんがブラジルに行ったらぜひ連絡してください。そこであなたに会うのは、大きい喜びでしょう。
そのインタビューは本当にありがとうございます。このブラジルの酒はお礼を申し上げる私のつまらないやりかたです。・・」

RAFAELさんは東大の鈴木博之先生の研究室に在籍しているブラジルからの留学生。忘れていたが、数ヶ月前に彼は、DOCOMOMOで一緒の東海大学渡邊准教授に伴われて僕の事務所を訪ねてきた。修士論文で、日本のモダニズム建築の保存問題をとりあげたのだ。
数多くの人にインタビューをしたようだが、僕は鎌倉の神奈川県立近代美術館の現状と、保存活動について話した。
建築家や美術関係者、それに市民や学生と共に「近美100年の会」をつくって坂倉準三が設計した日本を代表するモダニズム建築の存続を願って活動しているからだ。
時折難しい言葉を、渡邊さんが英語で通訳してくれる。僕にとっても様々な経緯を振り返ることが出来て有意義だったし、外国から来た若者の好奇心に触れて楽しかったことを思い出した。

帰国する?僕がブラジルに行ったときに会いたい?それはちょっと無理だなあ!
彼が日本にいるとときに、もう一度会いたい。今度は僕がインタビューをする番だ。建築のことだけでなく、サンバやボサ・ノバ、そしてカーニバルのことを。何よりなぜ日本に来たのか?
やはりね、修論の成果についても語り合いたい。

このエッセイを書きながら聴いているのはボサ・ノバではない。GETZ/GILBERTOに触発されて、スタン・ゲッツのライブの一曲`KALI-AU`、そして`CHAPPAQUA`。
輸入の廉価版なのでライナーノートがなく、どういうライブなのかよくわからないが、シンセサイザーが遠くから響き、エレキトリックギターが爪弾くようにメロディを弾き、スタン・ゲッツがささやくようにテナーを吹く。
ふとピンク・フロイドの原子心母を思いだした。これはJAZZ?いや70年代、僕が銀座のジャズクラブ・ジャンクに通い詰めた頃、聴いていた音楽だ。とするとJAZZなのだ。

ちびちびやっているのは、もちろんCACHACA51だ。
プラッサオンゼでは氷と水で割ってほんのすこしsugarを入れ輪切りにしたライムをおく。スピリッツとはいえアルコール分40パーセントもあるのだ。今はロックで。いやいやなんともねえ!
そして想いを馳せているのは・・妻君と出会う直前の70年代だ。