田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

侵略/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-03-30 19:10:40 | Weblog
三人のvampireの頭上には月光が注いでいた。

ルー。マー。ニャー。

はるばる吸血鬼の本場からやってきた吸血鬼三兄弟は動かない。

月光の下で夜風にふかれている。

しかし、周囲の樹木の間で人影が乱闘していた。

ストロボをあびているように、影が消えたり現れたりしている。

怒号。悲鳴。どさっと人の倒れる音。

「兄のレンフイルドが戦っているのよ」

「止めさせることはできないのか」

「しかけたのは、そちらよ。

こんなに美しいわたしたちと結ばれるというのに。

なに血まよって拒絶したのかしら」 

「ちがうな。そんなことで戦争にはならない」

「じゃあ、なんなの。翔太。教えてよ」

「この土地での覇権を争っているのだ。

それ以外に争う理由は考えられない」

「この土地に長いこと住んでいた鬼族の目はいま奈良に向いている。

奈良の都に返り咲きたいのだ。

その油断と焦りを突かれたのだ。

彼らだってまだまだこの土地には未練がある」

樹木の奥での戦いは見えない。

翔太はどうしていいか決断できないでいる。

森の奥では吸血鬼の、仲間同士の戦いがくりひろげられている。

眼には見えなくても、その陰惨な戦いぶりは想像できる。

翔太はあせった。

だがどちらも吸血鬼だ。

どちらに味方していいかわからない。

はっきりいって、両方とも人に害なす者だ。

翔太たちの敵だ。



one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
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ああ、快感。

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