第十一章 「マヤ塾」炎上
1
「住人は避難したのですか」
隼人が訊く。
「消火の邪魔だ」
消防士。
「知りあいなのです。麻耶先生の奥さんは無事に逃げだしましたか」
制服の阿久津に聞かれた。
それでも消防士はめんどうくさそうに顔をしかめただけだった。
やはりどす黒い影におおわれている。
オニガミに憑かれている。
「放火ですよ。なんにんも黒服の人が教室にはいっていったのを見た」
「めったなこというな」
近所の主婦がいうのを夫らしい人物が手を引いて人ごみに紛れる。
野次馬はさらにふえている。
ひとびとのざわめき。
消防車のエンジン音。
火にはぜる木片の音。
あたりは騒然としている。
「麻耶さん」
叫びながら隼人はまだ火の回っていない玄関からとびこんだ。
「先生!! 智子先生」
阿久津があとから追いすがってきた。
「この奥が書斎です」
塾生だった阿久津が隼人を案内する。
煙がすでに家中に渦巻いている。
ふたりが扉を開けた。
その空気の動きでゆらぐ煙のなかに黒い影の存在があった。
「なにものだ」
隼人と阿久津が同時に怒号した。
広い書斎だ。
机のパソコンに怪しい人影がかがんでいた。
パソコンを持ってこちらを向いた。
煙の中で男がニカっと笑った。
鬼だ。
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火にはぜる木片の音。
あたりは騒然としている。
「麻耶さん」
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阿久津があとから追いすがってきた。
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塾生だった阿久津が隼人を案内する。
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