田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

「マヤ塾」炎上(2)/三億八千万年の孤独 麻屋与志夫

2011-04-29 19:20:01 | Weblog
2

アメリカ育ちの隼人には吸血鬼にみえる。
阿久津には普通の男に見えている。

「智子先生をどうした」
「さあ、どうしたのでしょうか」
ニカニカ笑いながら近寄ってくる。
「避けろ」
隼人は阿久津に声をかけた。
おそかった。
鬼の腕のひと振り阿久津が煙の奥へふっとんだ。

隼人は鬼の股間に蹴りをとばした。
丸太を蹴った感触だった。
「キリコのところに行った仲間をやったのはキサマらしいな」
鬼族だけがもつ燐光をはなつ目。
鉤づめ。
牙。
凄まじい形相で迫ってくる。

「隼人。コイツはわたしにまかせて。美智子さんのオバアチヤンを探して」
キリコがかけつける。

「こいつはたのしくなってきた。
キリコもきているのかよ。ふたりそろって始末してやる」
隼人は阿久津を助け起こした。
制服の胸が裂けてている。
血がはでにふきだしている。
奥を指差している。
なにかいっている。

「教室の裏側に、黒板のうらにパニックルームがあります」
よろよろしながら隼人をみちびく。
煙が吹きこんでくる。阿久津は煙にむせている。
柱の中ほどを叩く。
壁が動いた。
壁がするすると上部に上がっていく。


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