田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

「リリ、長生きしてよ」とわたしはいう。 麻屋与志夫

2016-01-28 07:00:07 | ブログ
1月28日 Thu.

●初めて生活を共にした彼女(ミュ)は病気ひとつしなかった。
息子が猫が好きで、森山会館のまえで抱き上げてきたメスの虎猫だった。
病気ひとつしなかった。
いちどは母猫としての気分をあじあわせてやりたいと、三匹の子猫を産んでから、不妊手術をした。
医者にかかったのは、そのときだけだった。
お医者さんの世話にはなったが、病気ではない。

●階段をポコッポコッと辛そうに上がって来た翌日この世を去った。
19年の生涯だった。
「ミュよ。下で呼んでくれれば、パパが下りていくからな。ムリするな」
と声をかけてやった翌日のことだった。
あまり呼吸が苦しそうなので、絨毯のうえにアグラヲかき、膝の上にミュをのせてやった。
だまって、わたしの顔を見上げて数時間。
静かに息をひきとった。

●ミュは寒がりだったので毛布にくるんで庭の東の隅に埋葬した。

●いまホリゴタツでわたしがキーボードを叩く音を、神妙にきいているブラッキ―も同棲してからはや18年になるが昨年の暮れ、疥癬で動物病院にかかるまでは健康そのものだった。

●だからなのかもしれない。
病弱なリリのことが心配なのだ。
それにリリはハジメからカミさんがかわいがっている。
「リリはミイマ(妻の愛称)が産んだ子じゃないの」
と冷やかしたくなるほど、妻はリリを、人間の赤ちゃん同様の育て方をしてきている。
ミイマがカウチソファーに横になってテレビを見ているとお腹のうえにのって神妙にしている。
カミさんと同じような姿勢でテレビを見ているので、
「だって、鉄分が少なくて貧血ぎみだったりして……」
その他、諸々似ていることがあるのだが、列挙するのは控える。

●「わたしに似ているのだったら、心配ないわ。この歳まで生きているのだから」

●娘たちと姉妹と間違えられるのが自慢のカミさんが、シラツトいったものだ。



 今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
 お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
 皆さんの応援でがんばっています。


にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へにほんブログ村



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« リリは美人薄命なのかもしれ... | トップ | 「リリが、吐いたわ」とミイ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ」カテゴリの最新記事