田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

赤い霧の中の顔/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2010-12-28 07:16:40 | Weblog
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もともと倫子からきいた言葉だ。
ジャズでgroovyとは『イイ気分になれるイカシタ演奏』くらいの意味だ。
美香はfan。フアンくらいの意味としてとらえている。

たしかに美香はこわいものに魅かれる。
バンパイァの話は大好きだ。
怖いものが好きだ。
恐怖を感じるのが好きだ。
剣道だって死と紙一重のところで生きていることがわかる。
だから必死で練習する。
だって真剣だったら、もう死んでいる。
竹刀だから生きているが。なんて師範にいわれるともうメロメロだ。
体から血をふいて倒れる。
そうイメージする。

それだけでもう十分に怖い。
体に刃が突き刺さってくる。
その感触は? そうイメージする。さらに怖い。
痛み、血がながれる。その喪失感。怖い。

『啓示』だって同じようなものだと美香は思っている。
怖いものみたさで、怖い夢をみるのだ。
超能力なんて、大袈裟なものではない。
レム睡眠時によく夢をみる。
それを夢による知らせ。
予知能力なんて思いこんでいる。
こんどだってそうだ。

「羽田の国際線到着ロビーにいけ。そこにバンパイアがやってくる」

バンパイァがやってくる。
それだけだ。
そのvampireを迎え討てとはいっていない。
だから、ロックバンドをたぶん装って入国してきたVのヤッラのことではない。
アンデイ。――の、ことを夢枕でつげられたかも。

でもちょっと複雑。
香世も今回は同じお告げをうけている。

もしかして、やはり能力? フォースなの?  だと……うれしい。
――また『啓示』があった。
上野でおりる山手線を乗り越して池袋まできていた。
夢は真っ赤な血……? だった。
夢には色はないという。
ほんとかな。
色があった。
女の子が喉を食いちぎられていた。
となりにアンデイがすわっているからバンパイアの夢をみたのだ。

「オネエ。よく眠っていたから起こさなかった。また夢みたでしょう」

アンデイの隣で香世が体を少しこちらにずらして話しかけてきた。
香世にはわたしの夢の内容がわかっているのだ。

「アンデイは赤ワインの飲める店ならどこでもいいって」

夕食の話をしているのだ。
そうだ。
この親子と食事をしてみたい。
でも真っ赤な霧のような、その中で女の子が吸血鬼の生贄になっている夢。

気になるな。




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