田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

腐女/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-03-09 15:54:49 | Weblog
姉の姿は消えていた。

(いつからこんなところに、ルーマニヤパブがあったのだ。

それとも夜だけパブとなって現れるのだろうか)

翔太の首筋を冷たいものがなでた。 

扉の向こうにだれかいる。

招かれている。

その気配が凄まじい妖気となって扉の下からながれだしてくる。

翔太はふらふらと扉に吸い寄せられた。

胸で携帯がふるえている。

翔太は扉に手をかけようとしたところで、踏みとどまった。

「翔太すぐきて」

理佐子だった。

「ふたりがふらふらしてる」

7

ふたりは翌日ケロッとして学校にあらわれた。

翔太とオリオン通りのはずれで介抱してやったのがウソみたいだ。

今年初めてできた就職希望のEクラスの生徒だった。

あまりの不況に進学をアキラメタ生徒のためのクラスだった。

まちがいなく大麻を吸っている。

もうすぐ、卒業式だ。

それまではしらんぷりしていてやろう。

というのが翔太の意見だった。

潔癖な理沙子はゆるせなかった。

高校生が大麻を吸うのをゆるせなかった。

おれたちはポリスじゃないから。

ボスである翔太のいうことだ。

理沙子は受け入れた。

それにしても、操にまで大麻が広がっているのはショックだった。

それもヤクザの影がみえがくれしている。と翔太はいっていた。

「あああのひとたち。Eクラスの腐女よ。

BL小説ばかり読んでる、オタクよ」

廊下からこっそりとのぞく。

その姿があまりに異常だった。

精気がない。干からびた感じだ。

始業のベルがなった。

理沙子はじぶんの教室にもどった。

昼まではなにも起きなかった。

弁当を広げていると、廊下がきゅうにさわがしくなった。

「火事よ。体育館から煙がでてる」

廊下にでたとたんに、人の流れにのみこまれた。

みんな体育館に向って走っていた。

「いまごろ、火がでるなんておかしいよ」

「もしかして、放火」

「そんなこといわないほうがいいわよ。でも受験のストレスでだれかが……」

くちぐちに好き勝手なことをいっている。

「あそこは腐女のタマリ場よ」

そんなことを理沙子はきいたことがない。

どうして、腐女とかオタクといってバカにするのかしら。

ひとの好みはいろいろある。

じぶんとちがうからと迫害する。

なぜなの?





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ああ、快感。


コメント
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