田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

真性/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-03-16 02:58:05 | Weblog


故郷。この宇都宮を守りたい。

故郷。Vの侵攻から守りたい。

故郷を守りたいのに。

そうだ。宇都宮が危機に瀕している。

故郷宇都宮が危ない。

だれも、助けてはくれない。


自分たちの街は、自分たちで守らなければならないのだ。

それなのに。この重大なときに。

このだらしないテイタラクはどうしたことだ。
 
それでも周りに凶念が凝固してのは感じられる。

じわじわとVが迫ってくるのを視認できない。

皮膚で察知している。

「きます。きますね」

翔太は織部にささやいた。

なんだか翔太の日本語までおかしくなっている。

殺気を感じた。

翔太はさっと勘だけをたよりに身をひいた。

ユニクロのパーカーの袖が裂けた。

布きれとなって袖が中空にまった。

それでもVの姿は見えない。

「おや身をかわした」

「みえてますか。みえてますか」

からかわれている。

妖気がふきよせてくる。

織部は戦ってる。

「おちつけ。翔太。心の目で見るんだ」

「おいしそうだ」

総毛立つような陰気な声がする。

翔太は取り囲まれていた。

見えない。声だけで気配を察するほかない。

覚醒する前はこうだった。

なにか回りにいるようで、それがみえなかった。

あのまだるっこさ。

あの苛立ち。

あの恐怖。

宇都宮をVの侵略からまもろうとしているのに。

これではダメだ。

姉さん。たすけて。

姉さん。たすけて。

このままでは、やられてしまう。

両手に念をこめて突きだしても効果はない。

「翔太。紫外線銃をつかえ‼」

「そうよ。光よ」

理沙子がとびこんできた。

「わたしをのけものにすると、セクハラで訴えるわよ」

理佐子がバチっと銃を発射した。

部屋が明るくなった。

そこに現れたのは人間そっくり。

覚醒者から見ればどこ少しおかしい外来種のV。

金髪のFVもいる。美しい。

「みえるの。わたしが見えるの? 日本の少年」

日本の鬼族系から変形してきたマインドVとはちがう。

血を吸う者たち。

真性のバンパイアを翔太は敵にしていたのだ。

one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
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ああ、快感。
コメント
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