田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

カミサンノのブログ記念日   麻屋与志夫

2008-11-06 18:18:27 | Weblog
11月6日 木曜日
●秋空。朝から爽やかに晴れ渡っている。

●きょうはカミサンがブログをはじめて一年。記念すべき日だ。

●ずっと長いことそれこそ詳細に書くと彼女の歳がわかってしまうので、差し控えるが友だちができないできた。彼女は寂しくすごしてきた。

●控え目な性格によるのだろう。東京の言葉のせいもあったのだろう。かわいそうなほど、友だちができないできた。

●それが、ブログをはじめてからは状況が一変した。

●猫のすきなひと。バラのすきなひと。風景写真のすきなひと。カミサンはブログをとおして知り合った友だちにエールを送られ、毎日楽しそうにPCにむかっている。

●写真のセンス。バラや猫や風景をフレームの中に飾る才能が抜群だ。散文詩のような文章。この一年で才能が一斉に開花した感じだ。

●ブログだって、訪問者がミケタ。わたしより多いのだから。すごい。

●わたしたちの書斎、共同のワークスペイスの壁に、十六歳の彼女が描いた初めての油絵がかかっている。透明な工場風景がすばらしい。

●詩人に成りたいと小学校の卒業文集に書いた彼女。

●わたしと結婚したために、生活に追われて二つともただの夢として潰えてしまったようだった。

●それが、育児もすみ、PCをはじめてむかしの夢がよみがえったようだ。

●絵はいまのところさすがに始められないでいるが。写真で絵心を満足させている。文章は日ごとに濃密なポエジーをただよわせて、わたしたちをたのしませてくれている。

●彼女の夢をサポートしたい。喜々としてPCにむかう彼女をみているとしきりとそうおもう。

●きょうは、カミサンのブログ記念日だ。

妻のブログは「猫と亭主とわたし」です。ご愛読ください。
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吸血鬼の故郷  麻屋与志夫

2008-11-06 16:51:23 | Weblog
背中に扉の板の質感をたしかめながら。

古からの人狼と九尾族の確執を思いながら。

太刀を杖に立っていた。

「一匹も逃さない。この場所は知られたくないの」

「切り落とした人狼の首は火のなかに投げ込むのよ」

美智子は残酷なことを平気でいえる女ではない。
人狼との戦いに賭ける美智子の覚悟のほどが読みとれる。
道場まで侵入して、負傷者や老婆をむさぼり食らった。
許せるはずがない。
この敵を滅ぼすためにはいかようにも冷酷になれる。
過酷になれる。

首は火に投げ込む。
そうすれば、さすがの人狼もよみがえれないだろう。

美智子が、祥代にいいながら扉を開けた。
先頭にたって人狼の首を両手に扉をでた祥代が立ち止まっている。

凍り付いている。

まだ燃え盛っている火炎に気おされしたのか。

「どうしたのよ」

うっと妻が獣のような声をだした。

祥代が両手にさげた首をふたつ同時に取り落とした。

人狼の首が祥代の肩からはえている。

炎を逆光線にあびているがボスだ。

わたしにむかって笑ったようだ。 

そのまま、祥代がずるずると庭に引きずりだされた。

食いちぎられる。   

わたしはよろけながらその後をおった。

だが、わたしよりもはやく反応したものがいた。

獣の形をしていた。 

もはやひとの形はとどめていなかった。

「玉藻。おまえか? 再生していたのか」

ボスが口をきいた。
祥代が大地にたたきつけられた。
ばさっと音をたてて倒れた。

玉藻がボス狼に食らい付いた。 
圧倒的な俊敏さだ。    
ボスは避けることもできなかった。  
首筋にくらいつかれた。 

必死で玉藻をふるい落とそうもがいている。

わたしは祥代のところにはいよった。



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