ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『憲法改正論争 あなたはどうする』 - 2 ( 時流に乗って売れた駄作 ? )

2017-11-12 12:04:33 | 徒然の記

 澤田氏は、初めて憲法改正を要求した外国人と、日本で初めて憲法改正問題を取り上げた政党の名前を紹介し、これを入り口に話の展開を始めます。

 氏の著作が出版された平成5年とは、どういう時代だったのか。

 ・政界では、新党さきがけ、新生党、日本新党という「新党ブーム」が巻き起こっていました。

 ・総理大臣が宮沢喜一氏で、官房長官が悪名高い河野洋平氏でした。次の総理が細川護煕氏で、官房長官が竹村正義氏でした。

 順不同に、出来事を列挙しますと、

  ・女性初の衆議院議長として、社会党委員長だった土井たか子氏が選ばれた

  ・皇太子妃に雅子様が決まるかと思えば、自民党の実力者だった金丸信氏が、脱税容疑で逮捕された

  ・核開発の疑惑を持たれた北朝鮮が、査察受け入れを拒否しIAEAを脱退した

  ・朝日新聞の大嘘記事のため、訪韓中の宮沢総理が韓国大統領に平身低頭で謝罪した

  ・官房長官河野氏が、忌まわしい「官房長官談話」を出したのもこの年

  ・非自民連合政権が誕生し、内閣総理大臣になった細川氏が「先の大戦は、日本の侵略戦争だった」と愚かしい談話を公表

 平成5年という年は、現在の日本が抱えている諸問題を、一度に店先に並べた露天商みたいな有様でした。反日・左翼勢力がのさばり、日本人自身の手による「日本叩き」が始まった腹立たしい年でもあります。

 腐れマスコミがこぞって「日本の過去」を攻撃し、ペテン師吉田清治の「慰安婦狩り」の作り話を、朝日新聞が得意になって報道しました。

 こういう状況下で書かれているので、澤田氏の著作も時流に乗って売れたのかも知れません。

 まず最初に氏が語る、初めて憲法改正を迫った外国人の紹介です。

 ・東西冷戦が終結して3年、世界各地で相変わらず内戦や局地紛争が起こっているものの、どうやら世界は平和に向けて、力強く歩み始めているように見えます。

 ・世界に誇るべき平和憲法を掲げる日本で、平成5年が明けると同時に、期せずして 「 憲法を変えろ」 の大合唱が突然沸き起こり、世間を驚かせます。

 ・そのきっかけとなったのが、国連のガリ総長の発言でした。

 ・経済大国日本は、憲法を変えてでも国連平和維持軍に参加すべきだ、というものでしたから、政府は大いに驚きうろたえました。

 ・その後ガリ氏は、憲法を変えて欲しいとは言っていないと修正しました。

 ・しかしガリ氏が、国際協力を日本に期待する以上、現状を守るだけでなく、もう一歩踏み出した対応を望んでいることは、確実だと言って良いでしょう。

 次は日本で最初に、憲法改正を唱えた政党の紹介です。

 ・長らくタブー扱いをされてきた憲法改正論を、一番最初に唱えたのは、意外にも誕生して日が浅い日本新党でした。

 ・平成4年に発表された同党の政治大綱の中に、現行憲法の平和主義は維持しながらも、国連常設部隊に日本が堂々と参加できるようにしなければならない、と書かれていました。

 日本新党の主張はここまでの話で、進展はありませんでした。改憲反対論者の氏は安心しているようですが、氏の説明は何度読んでも理解できません。肝心の部分を省略しているのか、意味不明の文章です。

 ・日本新党の改憲論は、平和憲法の擁護という錦の御旗を掲げているだけでは、日本の政治はよくならないという考え方によるもので、イデオロギー色にまみれた、改憲・護憲論争とはまったく無縁のものです。

 ・大切なことは国民がみんなで決めようという、民主主義の本道に立ち返るならば、改憲は重要なテーマになるはずです。

 平成6年に、当時の副総理兼外務大臣だった渡辺美智雄氏が、PKOとの関連において、憲法改正も検討すべきでないかと発言します。続いて自民党の政調会長だった三塚氏が同様の発言をし、大問題となりました。

 この時の事情を、氏は次のように述べています。

 ・宮沢首相は閣僚懇談会の席上で、憲法改正を政治日程にのせることは考えていないと強調し、河野洋平官房長官の口を通じ、閣僚は誤解を受けることがないよう慎重に行動して欲しいと、放漫な発言に釘をさしています。

 ・自民党の議員が全員、自衛隊の憲法上の地位向上や、国際貢献の拡大のため憲法改正が必要だと考えているわけでなく、宮沢首相と似た感覚の人もいることを忘れてはならないでしょう。

 ・このように憲法問題は、自民党の内部でさえも意見は一致していないのです。

 氏は宮沢首相を誉め、渡辺氏と三塚氏を批判しますが、「ねこ庭」では氏と逆の評価をします。「慰安婦」問題への韓国政府の執拗な言いがかりを 、怒りを抑え堪えてきた国民から見ると、宮沢、河野両氏は売国政治家にしか見えません。

 「日本の戦争は侵略だった、間違っていた」と、東京裁判史観を信じる政治家なのだから、どうせこのような対応しかできなかったのだと、宮沢、河野両氏を軽蔑することになります。

 渡辺氏と三塚氏には、拍手をしたいくらいです。会社勤めで忙しかったので、当時は新聞の見出ししか見ない日々だったため、渡辺氏と三塚氏には良い印象を持っていませんでした。

 改憲を口にする大臣を、朝日新聞が好意的に報道するわけがないのですから、今にして思えば、私も反日マスコミの影響下にあったのです。

 失言政治家としての印象しかない渡辺氏と、献金疑惑の汚れた政治家と見ていた三塚氏に、申し訳なかったと謝りたくなります。

 氏の著書も「ねこ庭」で取り上げる価値のない駄作と分かり、お終いにして良いのですが、もう一回だけ取り上げたいと思います。

 駄作であるだけに愚かな意見が堂々と書かれていますので、キチンと指摘しておくことが、息子や孫たちへの指針になります。

 昔はこんな馬鹿な意見が世間に広がっていたのだよと、良い教訓になると思えます。退屈でわずらわしい作業ですが、息子や孫たちに残す遺産だと思えば安い話です。

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2 コメント

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Unknown (RIKAKO)
2017-11-12 16:00:46
おーーー。三塚博!久しぶりに聞きました😝

onecaat0117さんの、素晴らしいところは…
著書の書かれた時代背景を、キチンと示して下さるところ!

生意気申しましてスミマセン…母と同い年のonecaat0117さんに💦

でも、これ、本当に大切な事で…
自虐史観の方々は、日本が一方的に戦争を仕掛け、侵略した悪い国!の様に語ります。
違うでしょ!まず、時代背景を考えるべきでしょ?と、声を大にして言いたいデス。

賛否両論、どちらの意見に耳を傾けるも、時代背景を無視しては、正しい判断が出来なくなりますもの…。
書評をされるにも、書かれた時代背景は大事と考えます。

これからも、ご教示お願いいたします。
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時代背景 (onecat01)
2017-11-12 17:19:35
RIKAKOさん。

 そうですか。あなたの母上様と同じ年令・・。

 となりますと、貴方は私の大切な息子たちと、似たような年令・・、となりますと、貴方も私の大切な子供のようなもの・・、となりますと私のブログも、子供である貴方へ向けて書かれたも然・・・。

 という具合に、私の理屈は展開していきます。勝手な思い込みですが、親しみが深まりました。

 さて、肝心なことをご返事いたします。
時代背景は、ご指摘の通り大切なものです。いつも、それを心がけて書いております。気づいていただき、感謝します。 ご自愛専一に。
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