2年前の9月に、鈴木首相について「ねこ庭」で取り上げていましたので、過去記事を紹介します。
最初は、氏の経歴を調べています。
・昭和22年に、日本社会党から第23回衆議院議員選挙に出馬、初当選。
・水産常任委員会の委員として水産庁の設置をはじめ、漁業法や水産協同組合法の成立等戦後の水産政策に大きな役割を果たす。
・その後、社会革新党に移る。
これ以後の文章は、2年前の過去記事です。
・なんと鈴木氏は、社会党の議員が出発点でした。
・社会党の総理大臣が片山哲、村山富市氏だとは知っていますが、元社会党議員が自民党の総理となっていたとは意外な発見でした。
・氏が出馬した昭和22年の内閣は片山氏が総理大臣で、社会党の設立はその2年前の昭和20年です。
・昭和20年11月に、戦前の非共産党系の合法社会主義勢力がまとまり、社会党を設立した。社会民主党 ( 右派 ) 、日本労働党 ( 中間派 ) 、日本無産党 ( 左派 ) の主要3派である。
・当時の様子を説明する過去記事を読みますと、懐かしい名前が出てきます。社会党委員長として片山哲、鈴木茂三郎氏、書記長として西尾末広、浅沼稲次郎氏などです。
・こういう時代に社会党議員として出馬するというのは、鈴木氏が有望な若手政治家と見られていたからでしょうか。
・それにしては現在の氏の評価は、芳しくありません。読売新聞社社長の渡辺恒雄氏の意見を紹介します。
「鈴木さんの首相就任直後から日米関係がぎくしゃくし、財政再建もうまくいかない。支持率の急落もあって、2年余りで政権を投げ出そうとしていた。」
・昭和55年7月から、56年11月までの内閣でしたから、実際は2年あまりでなく1年と5ヶ月の短命内閣でした。
・評論家八幡和郎氏の評価は、もっと辛辣です。
「誰でも首相になれるという前例になり、政治を劣化させた。」
いくら何でもそんな人物が総理大臣になれると思いませんが、立場の弱い政治家となると、評論家は酷いことを言います。
次に紹介するのはウィキペディアの記事ですが、この説明が一番当時の氏を伝えている気がします。
・元々社会党から政界入りしたこともあり、鈴木は鳩派スタンスだったが、外交や安全保障面での経験が乏しいまま総理になったため、しばしば躓きを見せた。
現在でも旧社会党系野党が親中派ですから、「鳩派スタンス」の言葉は、鈴木氏が中国に親近感を持つ政治家だったという意味です。日本中が「熱烈歓迎」の中国に傾き、中国との明るい未来に浮かれていました。
せっかく築きつつある日中の友好関係を、「教科書事件」で壊してはならないと懸命になるはずです。
氏は自民党の総務会長として日中国交正常化後に3度訪中し、当時の最高指導者鄧小平氏と会談しています。鈴木氏に対して、鄧小平から二つの話があったそうです。
・日本からの政府借款を受け入れたい
・土地を提供するから、共同で中国国内に兵器工場を作りましょう
この件に関し鈴木氏は、後に次のように語っています。
「これには正直言って驚いた。日本としては対米関係などを考えると大変なことで、出来るわけはない。」
「私は、日本は日本国憲法の趣旨から言って、諸外国とそういう面での共同の仕事は基本的に出来ないし、考えてないと即座に断った。」
「この話は、単なる外交上の駆け引きとして出してきたという印象ではなかった。真剣だった。今思うに当時、中国としても軍備の近代化を考えていたんだろう。」
「日中共同の兵器工場建設の提案を断った代わりに、円借款の件は約束通り実行した。」
中国の最高指導者に言われたからと言って、そのまま受け入れていないのですから、立派な日本の政治家だと思います。媚中派の議員が多い現在から見ると、氏はやはりそれなりの人物だったことが分かります。
マスコミに叩かれ党内で離反され、倒閣に追い込まれていきますが、元社会党議員という先入観に囚われず冷静に考えますと、氏は事実以上に酷評された首相の一人だったことが分かります。
内閣官房長官の宮沢喜一氏は、日本中が「熱烈歓迎」の中国に傾いている風潮を見て、中国のためにすることが国益になり、自分の名前を高めると考えたのではないでしょうか。
人間の価値基準を学歴でしかしない氏は、時の国民大衆が喜びそうな政策として、迅速な「官房長官談話」を出したのかもしれません。
鈴木氏は能吏の官房長官を評価せず、党内の無用な政争を防ぐため、次の総理を中曽根氏と決めていました。人を見る目の適切さを知るだけでも、鈴木氏の不当とも言える過小評価が惜しまれます。
・機嫌を損ねたアメリカが、隠に陽に「鈴木下ろし」を始めた
1. 「宮沢官房長官談話」 2. 日韓首脳会談での謝罪 3. 「河野官房長官談話」
2. 3. のテーマが、「日航機墜落事故」と何の関係があるのかと言われても、「ねこ庭」ではつながっています。酷暑のため思考が狂っているのでありませんので、次回から説明いたします。
酷暑の中でつき合っておれないという方は、スルーしてください。