ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『憲法改正論争 あなたはどうする』( 澤田洋太郎氏の著書 )

2017-11-11 13:09:49 | 徒然の記

 澤田洋太郎氏著『憲法改正論争 あなたはどうする』( 平成5年刊 エール出版社 ) を、読み終えました。

 氏の略歴を紹介します。

  ・昭和2年、東京で生まれ、存命なら今年90才

  ・東大卒業後、都内の公立高校の社会科教師となり、31年間教鞭をとる

  ・都立大付属高校の教頭を最後に、退職

  ・退職後は著作活動を精力的に行い、日本古代史や憲法改正論議、共産党や資本主義などの政治経済の解説、社会人向け教養書などを多数執筆

  ・また、古代史研究では大和王権を、朝鮮半島からの渡来王朝とする説を論じることもある

   ネットの情報を読み、氏が平々凡々とした高校教師でなかったことが分かりました。予想していた通り左系の人物で、「ねこ庭」をかき回す意見を展開しています。知らないことを沢山教えてくれましたが、感謝より疑問の方が先に立ってしまいました。

 改憲論につき氏は次のように解説していますが、「ねこ庭」は違う意見です。

  ・改憲論には、二つの流れがあります。
 
  ・その一つは、自衛隊の公認やPKF参加のように、国益優先の考え方によるもの。
  ・もう一つは、環境権や知る権利の保障を求める、人権強化の思想を根拠にした提案です。
 
 「ねこ庭」では、氏のように国益と人権を対立する思考に違和感を覚えます。左翼の人々は「国」と「個人 ( 人権 ) 」が対立し、相容れないという思考です。
 
 国の中に国民がいるから国が成り立ち、国と国民は運命共同体だと「ねこ庭」は考えています。切り離してはならないものを二つに分け、対立するものと捉えるのですから出発点が違っています。
 
 資本家と労働者、残忍な支配者と無力な大衆、横暴な保守党と人道的野党など、この図式で議論を進めると対立は解けません。

 「社会主義国家を作るには、プロレタリアート独裁による暴力革命しかない。」

 レーニンは言いました。

 「権力は、銃口から生まれる」

 と言ったのは毛沢東です。マルクス自身は、

 「資本主義社会は、内在する矛盾のため必然的に崩壊する。」

 と言っただけで、暴力や武器には言及していません。しかし現実になると、社会主義国を作るには、現存する社会を破壊しなくては不可能だったのです。

  ソ連も中国も、内乱と内戦を経て作られた国です。近いところでは、カンボジアのポルポト政権があります。

 社会主義建設の理想に燃えるポルポト首相は、真面目な人物であっただけに、従わない国民を厳しく処罰し、ついには反対する者の抹殺を図り、200万人とも言われる国民を殺しました。

 人口800万人の国ですから、200万人といえば、国民の25%になります。

 社会主義者たちの理想国家であったソ連が崩壊したのは、平成3年でした。それを眼前に見ながら澤田氏は覚醒せず、日本を語ろうとしています。

 日本の左翼の特徴は、「日本だけが悪者だった」という、アメリカが捏造した東京裁判史観を後生大事にしているところです。いわば彼らは、敗戦が産み落とした「奇形の思想児」です。

 話が横道へ逸れましたので、氏の「改憲の二つの流れ」に関する意見へ戻ります。

  ・今年の夏以後には、間違いなく各方面で憲法論議が盛んになり、秋に予想される衆議院の総選挙では、重要な政策論点となるはずです。
 
  ・その理由は、今年の日本経済が戦後最大、と言うより、回復困難な痛手を負うと予想されるからです。
 
  ・それは、アメリカのクリントン政権への対応と関係があります。
 
  ・これまで世界経済の牽引車として期待されていた日本は、世界の孤児とならないため、なりふり構わず立ち回らざるを得なくなります。
 
  ・世界の国々から、日本は国際貢献をする決意を示した。エゴイズムではないと、評価されるように振る舞うのです。」
 
  ・国益優先の考えからくる改憲論議は、こういう事情を踏まえたものです。
 
 この意見を読んだ時、平成15年に出版された自由法曹団の『有事法制とアメリカの戦争』を思い出しました。彼らはそのなかで、次のように説明していました。
 
  ・日本が有事法制法や憲法の改正をするのは、アメリカの戦争に協力するためだ
 
  ・理由は、世界の嫌われ者である日本は、アメリカに見捨てられると孤立無援になるから、従順な家来であるしかないためだ
 
 平成5年の氏の著作と平成15年の自由法曹団の本が、そっくり同じ主張をしています。彼らが言いたいのは、国際社会での孤立を恐れる日本は、アメリカの圧力に負け、憲法改正をしようとしているという話です。
 
 西洋列強に驚嘆した幕末の時代ならいざ知らず、現在の日本人が「世界で孤立する」からと、そんな理由で憲法改正をするのでしょうか。
 
 軍艦と飛行機で外敵が攻めてくる時代は、過ぎました。今はミサイルが、何千キロと離れた場所から飛んできます。広島の原爆の50倍、100倍の威力を持つ核兵器を搭載し、10発も飛ばせば日本は全滅です。
 
 こんな時代に「専守防衛」と頑張るのは、「国家自滅」を主張しているのと同じことです。敵対国に囲まれた日本で、国民の安全と国土の防衛のため、「敵基地攻撃」という考え方が出て来て不思議はありません。
 
 国民の心の荒廃させているのは、今なお続く「不自然な政府答弁」です。他国が軍隊と見ているのに、自衛隊を「戦力なき軍隊」という虚構で守っています。
 
 中国を除けばアジアで第二の軍備を持つ自衛隊が、なぜ「戦力なき軍隊」なのか。国家の大嘘が国民の精神をゆがめ、国を愛する心を失わせます。
 
 経済評論家としておなじみの森永卓郎氏が、テレビで喋っていました。
 
 「戦争になったら、戦わないで逃げます。」
 
 氏は妻子が殺されても、戦わずに逃げるのでしょうか。砂漠も広野もない狭い日本で、いったいどこへ逃げるのでしょう。
 
 「そうなったら、平和憲法とともに死にます。」
 
 いい年をした大人がこんなバカをテレビで喋るのですから、世も末と嘆きたくなりました。言論の自由があるからと言って、氏に似た国民が大半を占めたら日本は自滅します。
 
 戦後72年が経過しても米軍を駐留させ、独立国となれないのは「日本国憲法」が、氏のような馬鹿者を育てたからです。
 
 アメリカに圧力をかけられているとか、世界の孤児にならないためとか、国民はそんな理由で憲法改正を考えていません。改憲の動きに「二つある。」などと、澤田氏のたわ言にも「ねこ庭」は与しません。
 
 氏の著作の一部にを紹介しただけで、スペースが無くなりました。続きは次回としますが、もし訪問された方がおられたらお詫び申し上げます。
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