写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

発表会

2006年06月26日 | 生活・ニュース
 「わぁ~、大変なことになったわ」。台所を預かっている婦人がつくるある会に参加している妻が、家に帰ってくるなり、こう言って座りこんだ。

 聞いてみると、来週、その会の活動発表会が開催される。その席で、妻がリーダーとなってやっている活動の発表を頼まれたと言う。

 プロジェクターを使ってやるそうだ。妻は今までそんな役割などやったことはない。生まれて初めての世紀の大舞台である。

 「どうしよう。どんな筋書きでやろうかしら」と、パソコンに向っている私の背中の後ろで、小さくつぶやいている。

 ここは私の出番だ。こんな時には、楽ではなかった現役時代のころを思い出し、プレゼンテーションのやり方を、頭の引き出しから取り出してみた。

 しかし肝心の引き出しが、少し固くなっていてスムーズに引き出せない。なんとか引き出すことが出来た。話の順序としてはこうだ。

 発表する「テーマ」がそこにある。
  1.テーマ選定の理由。その現状はどうなっているか。
  2.そこにどんな問題が横たわっているのか。
  3.その解決策は何なのか。具体的な方策は。
  4.実行した結果はどうなのか。反省点は何か。
  5.今後どう取り組んでいくのか。 

 この順番でまとめれば、大抵のことはまずは人に説明できる。あとは中身での勝負となるが、今回、中身のことは私には分からない。

 妻に発表の手順を説明しながら、現役時代、冷や汗をかきながらこんなことを何度もやらされたことを思い出す。

 品質向上・コスト低減・安全確保・工期短縮・人員削減・技術力強化・売上高増大などなど、今でもまだ覚えている。

 すずめ100まで何とやら。仕事を離れても染み着いたものは、爪の間に入った油汚れのように、簡単には落としきれていないことを実感する。

 現役時代、実務で活用するときには、いやでしょうがなかったものが、わが身にかかわることで活用するときには、心強く感じる。

 私の身勝手さに苦笑しながら説明するも、生あくびをしながら聞いている妻の態度が少し気になる、雨雨雨の午後であった。
   (写真は、雨雨雨の我が家の「サンデッキ」)