写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

錦川の鮎

2006年06月17日 | 食事・食べ物・飲み物
 6月1日、毎年のように錦川の鮎漁が解禁となった。下半身川につかり、長い竿を半円状に振りまわす釣り人が見られるようになった。

 今年の鮎は、まだ食したことはない。スーパーに出始めるのはいつ頃だったろうか。初夏の味として、膳に出てくるのが待ちどうしい。

 ところが岩国では、1年じゅう新鮮な錦川の鮎を食べることが出来る。それは「錦川の鮎」という焼菓子のことである。

 今津町の蔵前堂という店で製造販売されているもので、鮎の形をしたカステラのような皮の中に、白い求肥が入っている。甘すぎもせず上品な味がする。

 今日、買いものに出かけた妻が遠回りをしてこの店に行き、買ってきてくれた。お昼を済ませた後、冷たい緑茶を飲みながら2個頂いた。

 うっとうしいこの時期、清流に泳ぐ鮎の姿を思い浮かべながら、ぱくりと頭の方から口に入れた。

 2個目を食べる前、このお菓子の形を改めてじっくりと眺めてみた。鮎と言われれば鮎の形をしているが、私の目にはアザラシかトドに見える。

 サービス精神旺盛な店の主人が、お腹にあんを沢山入れるために、実物以上に腹を大きくしているからだ。まあ、外観は卵をはらんだ鮎と思うことにしよう。

 お菓子としては大変おいしいと、わが家では好評である。ちょっとしたお宅訪問の際に、持って行って大変喜ばれたこともある。

 1個100円。この店でしか売られていない「錦川の鮎」。まだ食べたことのない方は1度蔵前堂に行って見られては如何でしょうか。
   (写真は、やや肥満に見える「錦川の鮎」)