写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

空気入れ

2006年06月12日 | 生活・ニュース
 以前は自転車のタイヤの空気がよく抜けていた。ある時、虫ゴム方式のものを自動車のタイヤと同じバルブ方式のものに取り替えた。

 たった120円の投資で、空気が抜けることは非常に少なくなった。とはいえ、全く抜けなくなったわけではない。  

 先日、運動がてら自転車に乗って買いものに出かけようとしたところ、後輪の空気が減っていた。

 納屋に手押し式の空気入れをとりに行った。長い間使っていない間に、ゴムホースが朽ちて破れている。

 ホームセンターの自転車部品売り場で、これを売っているのを見て知っていた。早速買いに出かけた。

 ゴムホースは確かに部品として売られていたが、そのすぐ横に、空気入れも陳列されている。

 その前に立って、私はしばらくの間悩んだ。ゴムホースの値段は450円、それに比べると空気入れは何と590円と驚くほど安い。

 我が家の、少し錆び始めている空気入れのゴムホースを取り替えるよりも、この新品を買ったほうが良いのではと思ったからだ。  

 しかし、ゴムホースさえ取り替えればまだ十分に空気入れとしての機能は発揮する。どうしたものか、悩むほどの出費ではないけれど悩んだ。

 その挙句、ゴムホースだけを買って帰った。古い空気入れに取り付け、摺動部のパッキンにグリスを塗ってやると、新品顔負けのスムーズさでちゃんとタイヤに空気を送ってくれた。

 それにしても鉄製のしっかりした空気入れが590円とは安すぎないか。いや、450円というゴムホースが高すぎるのか。

 一瞬迷いはしたが、直せば使えるものをどうしても見捨てることが出来ない自分の性格に、ひとり苦笑いする。  

 もったいないというよりか、折角めぐり合った友を簡単に見捨てるに忍びないという心境かも知れない。

 ゴムホースよりも何倍も高そうな本体の価格が、590-450=140円ということになる。部品の販売価格の設定にどうしても納得のいかない1件であった。
 (写真は、ゴムホースで再起を果たした「空気入れ」)