写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

「私の履歴書」

2006年06月02日 | 生活・ニュース
 今日から日本経済新聞の最終面にある「私の履歴書」欄は、作曲家の遠藤実氏が執筆者となっている。

 毎回、功なり名遂げた経済人・文化芸能人・スポーツマン・政治家などの著名人が、自分の人生を振り返り、「私の履歴書」として約1ヶ月間・30回くらいに分けて書いている。

 それぞれが生まれ育ちに始まり、その道で成功をおさめ、今日に至るまでの過程が語られていて、いまさら参考にはならないが興味深く読んでいる。

 私もそれを真似て、定年退職をする前の数ヶ月をかけ、自分が生きてきた半生をまとめてみるという意味で、「私の履歴書」というものを書いてみた。

 満州の大連に生まれ・引き揚げ・学業を修め・就職・結婚・子育て・転勤を重ね・父母を亡くし・定年を迎えるという、他人から見ると面白くもない私の人生の話である。

 しかし、書いていると、それなりに私が輝いていた部分もところどころに出てくる。私にしか理解できないところである。

 400字詰め原稿用紙120枚分のものが完成した。平凡な1個人の履歴書は、誰かに見せるものでもないし、誰かが読んでくれるものでもない。

 人生いろいろと言うが、自分ひとりが、自分の生きてきた半生を、自分に納得させるためのものに思える。

 「私の履歴書」は、リンカーンの演説ではないが、まさに「自分の自分による自分のための履歴書」といえる。

 喜び・挫折・感動・哀しみ・嫉妬・逆境・順風・悩み・悲観・自信喪失・勇気・怒りと、あらゆるものが登場する。

 書き終わったあと、1度読んだきりで今は書棚に立ててある。10年後、20年後の私というたったひとりの読者のために書いた本である。

 リタイヤしてから 少し風向きの違った生き方をし始めた。物忘れもするようになったことだし、そろそろ続編の執筆に取り掛かる頃になったようだ。

 著者以外、誰も読まない本を、皆さんは書く気になりますか?「マディソン郡の橋」ではないが、いつか子供たちが読んでくれるかもしれないと思いつつ。
   (写真は、日経新聞と私の「私の履歴書」)