夕方、玄関のドアを開けたままにして庭に出ていた。陽が落ちると、草むらから蚊が出てくる。
蚊取り線香を2本焚いて菜園を眺めていると、我が家の庭はオープンカフェならぬ、オープンガーデンとなっているので通りがかりの人が話しかけてくる。
空にはまだ明るさが残っているが、時計はもう7時を大きく回っていた。それはそうだろう、夏至はもう目の前だ。
家に入りパソコンの前に座った。その時、招かざる客が入ってきていた。1匹の蚊が、マウスの上に置いた私の右手の指に止まった。
私の方に頭を向けて止まっている。暇に任せてじっくりと観察してみることにした。体勢を整えたと思ったら、後ろ足を大きく上げた。
止まったときに吸い管のすぐそばに置いていた前足をやや広げて、踏ん張りやすいような体勢をとった。
その時、吸い管と前足の間隔は2mmくらいである。そのまま固まったように全く動かなくなった。
私の生き血を吸い始めた。しかしまだ痒みはぜんぜん感じない。止まったときから1・2・3……と、頭の中で秒数を数えてみた。
60を数えた頃、少し痒みらしい感じを覚えた。やや痩せ型・貧血?の私は、これ以上蚊に対して献血を許す訳には行かない。
「ぴしゃり」左手のひらが、小さな蚊を真上から直撃した。そっと手を上げてみると、鮮血の中に圧死した蚊が勇姿をとどめず、つぶれていた。
あんな短い時間の間に吸ったのかと思うくらい血の量は多い。それにしても、蚊のメスも不憫なやつだ。
子孫繁栄のため、人の世の生き血をすすり、不埒な悪行三昧。桃太郎侍に代わってこの私が、醜い浮世の鬼を退治てくれよう~、というものであった。
これまで何十年、毎年蚊に刺されてきたものの、このたびほど丁寧に蚊の挙動を眺めたことはない。
蚊も、私の暇つぶしに付き合わされた挙句圧死するとは、カほど知っていたかどうか? 知っていたカもしれないし、知らなかったカもしれない。カもね。
(写真は、あえなく圧死した「不法侵入蚊」)
蚊取り線香を2本焚いて菜園を眺めていると、我が家の庭はオープンカフェならぬ、オープンガーデンとなっているので通りがかりの人が話しかけてくる。
空にはまだ明るさが残っているが、時計はもう7時を大きく回っていた。それはそうだろう、夏至はもう目の前だ。
家に入りパソコンの前に座った。その時、招かざる客が入ってきていた。1匹の蚊が、マウスの上に置いた私の右手の指に止まった。
私の方に頭を向けて止まっている。暇に任せてじっくりと観察してみることにした。体勢を整えたと思ったら、後ろ足を大きく上げた。
止まったときに吸い管のすぐそばに置いていた前足をやや広げて、踏ん張りやすいような体勢をとった。
その時、吸い管と前足の間隔は2mmくらいである。そのまま固まったように全く動かなくなった。
私の生き血を吸い始めた。しかしまだ痒みはぜんぜん感じない。止まったときから1・2・3……と、頭の中で秒数を数えてみた。
60を数えた頃、少し痒みらしい感じを覚えた。やや痩せ型・貧血?の私は、これ以上蚊に対して献血を許す訳には行かない。
「ぴしゃり」左手のひらが、小さな蚊を真上から直撃した。そっと手を上げてみると、鮮血の中に圧死した蚊が勇姿をとどめず、つぶれていた。
あんな短い時間の間に吸ったのかと思うくらい血の量は多い。それにしても、蚊のメスも不憫なやつだ。
子孫繁栄のため、人の世の生き血をすすり、不埒な悪行三昧。桃太郎侍に代わってこの私が、醜い浮世の鬼を退治てくれよう~、というものであった。
これまで何十年、毎年蚊に刺されてきたものの、このたびほど丁寧に蚊の挙動を眺めたことはない。
蚊も、私の暇つぶしに付き合わされた挙句圧死するとは、カほど知っていたかどうか? 知っていたカもしれないし、知らなかったカもしれない。カもね。
(写真は、あえなく圧死した「不法侵入蚊」)