そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





今年も去年の「ROMA」に続いてアカデミー賞を騒がせそうなNetflixの作品群。
その最後を飾るのがこちらの「マリッジ・ストーリー」。
「スター・ウォーズ」で悪役カイロ・レンを演じているアダム・ドライバーと、MCUシリーズでブラック・ウィドウを演じるスカーレット・ヨハンソンというバカ映画のキャスティング2人で大丈夫かと思うが、そもそもこの2人とも名優であり、スターウォーズやマーベルに出たことが汚点なのだが、彼彼女もナタリー・ポートマンみたいにそのうち黒歴史としてスターウォーズやマーベルの過去は葬り去ることだろう。
そのぐらい、この2人の名優が凄い仕事をしているのが、この映画だ。

星は4つ。★★★★
ジャンルでいうと「ドロ沼離婚コメディ」とでもいえば良いのだろうか?
いや、コメディというには途中余りにも凄すぎる壮絶な大ゲンカシーンがあるので「ドロ沼離婚ドキュメント」に近いかも。
とにかく、夫婦が離婚していく過程を、リアルに、シリアスに、ときにバカバカしく、悲しく、熱く、描いている。
映画の前半にやってくるスカーレット・ヨハンソンの延々ワンカットで送るひとり芝居の凄み。
映画の終盤に行われるアダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソンの延々続く罵り合いの凄み。
前半はなんだかマヌケでクスクス笑ってしまうのだが、徐々にシリアスになり、見ているこっちの心が痛くなるようなヒリヒリした離婚の結末には、少しだけホッコリしたものが待っていて……と、とにかく良く出来ているドラマ。
作品賞はないだろうが、スカーレット・ヨハンソンの主演女優賞はありそう。
ま、なんにせよ、こっちも傑作です。
やっぱNetflixはヤバい。
ハリウッドでは出来ないいい映画を作るんだ、という気概に満ちた方向に進んでいるのが本当に素晴らしいと思います。

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Netflixがヤバい。
今度のアカデミー賞にノミネートされそうなオリジナル映画を3本も今配信中だ。
1本は前に紹介したスコセッシの「アイリッシュマン」だが、この「2人のローマ教皇」と「マリッジ・ストーリー」もノミネート予想されている。
観客動員数を気にせず、いい脚本に大金を投資し、素晴らしい名優を揃えて映画化するNetflix。
続編やリブートだらけのハリウッドに一石を投じ続けている。
というわけで、まずは「2人のローマ教皇」を観てみた。
その感想。

これは素晴らしい。
星4つ半。★★★★1/2
ヘタすりゃ今年観た映画の中でいい意味ではいちばんかも。
悪い意味では「ジョーカー」がダントツで1位なのだが、あれは余りにもダークすぎた。
ニヤニヤ笑えて、ほろっとして、映像やロケ地の凄さにおおっと唸る映画的映画感でいうと、こっちが1位でも良いだろう。
そのぐらい素晴らしかった。
実話ベースというところがやや卑怯なので、マイナス0.5点している。
本来なら5点満点の出来だ。

現ローマ教皇と前ローマ教皇の実話がベース。
前ローマ教皇ベネディクト16世は自らの意志で辞任した珍しい教皇で、今は名誉教皇になっている。
その後を継いだのが現ローマ教皇のフランシスコ。
この2人の関係を思想の違いベースに描きつつ、なんとコメディというこの映画。
バチカン市国始めとした世界中のさまざまな場所でロケしているが、バチカン市国は撮影におそらく全面協力しているんだろう。
コンクラーベの会場なんてこんなに綺麗な映像で初めて観たし(たぶん本当の場所でロケしている)、とくにシスティーナ礼拝堂のミケランジェロの大壁画の前でロケしているところなんか「こんな場所で映画撮っていいのかよ」と驚愕したし、実際撮影しているし、凄いったら凄い。
実話ベースとはいえ、史実とは全然違うらしいんだが、老人2人の禅問答みたいな2時間が実に心地良く、ほっこりした。
アカデミー作品賞あげても良いとさえ思う。
傑作。

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