そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





話題の全米大コケ映画「キャッツ」。
メッチャ酷評されていて、もうボロボロ。
好奇心から観に行ってみた。
その感想。

ヤバい、感動して泣いてしまったよ。
星3つ半。★★★1/2
僕の中では名作の部類に入る。
どうしよう?w

これ、酷評される理由はいろいろ考えられる。
なので今から皆さんに質問をする。
YES/NOで答えてみよう。

①ミュージカル「キャッツ」を観たことがある。YES/NO
②猫が好き。YES/NO
③ミュージカルを映画化するならちゃんと映画としての体裁を整えるべきだ。YES/NO

……さぁ、どうだっただろうか?
①と②がYESで、③がNOの人は僕と同じなので、この映画、おそらく感動出来ると思う。
そうじゃない人、とくに①がNOの人、舞台版「キャッツ」の中身を知らない人は、観に行くと酷い目に遭ったと感じるだろう。
つまり、今回の映画「キャッツ」は……
「ミュージカル『キャッツ』を、そのまんま映像化した猫好きに刺さる映画」なのだ。
で、その舞台版「キャッツ」なるものに対する「耐性」と「知識」のあるなしで、映画の評価が変わってきちまうのだと思われる。
知ってる人は耐えられる。
今回の映画で初めて『キャッツ』を観るのはやめたほうがいい。

以下、舞台版「キャッツ」を観たことない人向けに、あえてネタバレを書く。
むしろ逆に、今から僕が書くようなネタバレを知識として持った上で映画館に向かえば、おそらくショックは受けないはずだ。

まず第一に、映画「キャッツ」に、ストーリーなんか、ない。
だってミュージカル「キャッツ」に、そもそもストーリーなんかないんだから。
それを知った上で映画を観に行って欲しい。

まぁ「ストーリーがない」と言い切ると語弊があって、少しはあるんだけど、ないっちゃあない。w
というのも、ミュージカル「キャッツ」は、ひたすら猫たちが自己紹介の歌を歌って踊るという内容だからだ。
次から次へと個性的な猫が出てきて、それぞれ自己紹介の曲を歌い踊っていくだけなのだ。
で、最後にその中から1匹の猫が選ばれて、天に召されて、生まれ変わるって話。
2時間以上かけて、ただ、それだけのことをやるのが傑作ミュージカル「キャッツ』なのだ。
だから、そもそもミュージカル「キャッツ」がそういう内容である以上、映画もそういう内容になっているだけのこと。
でも、酷評している向きも分かる。
「わざわざ映画化をするなら、もう少しちゃんとストーリーを作れよ」というのが酷評の理由だ。
でも、僕なんかに言わせてみれば「『キャッツ』って元々そういうもんじゃん」としか言いようがない。
そもそも、ストーリーなんてないし、ストーリー的な面白さなんかないのだ。
でもラスト、感動しちゃうのよ。
なんで感動しちゃうか?
それは猫好きだからだよ。
猫が人に向かって語りかけるラストで泣くのよ。
ここはミュージカルの舞台と全く同じだ。
舞台だからこそ観客に語りかけ、ストレートに届いていた猫の言葉が、映画では映画的な技法で観客に直接語りかけられる。
そりゃ泣くだろう、という話だ。

もう1つの問題点。
酷評ポイント。
猫人間たちのビジュアルが気持ち悪いという点について。
これは観客個々の好みの問題なので、気持ち悪いという人は、もう仕方ない。
でも、僕はむしろ役者たちの猫的な動きや、猫を模したダンス、そして主演のバレリーナの女の子の見事なダンス、テイラー・スウィフト、ジェニファー・ハドソンの見事な歌など、猫人間のパフォーマンスが素晴らしく美しくなまめかしく見えたので、全然OKだった。
CGもそこまで無茶苦茶ひどくもない。
むしろなんでこんなに気持ち悪がられているのか分からないというレベルだった。
良いよ、今回の映画版「キャッツ」の猫人間たちのビジュアルは。
主演のビクトリアって子猫なんて、可愛くて可愛くて仕方ない。
テイラー・スウィフトの演じる猫なんて、格好良くて最高。
一部、なんで毛皮を服みたいに脱ぐと中に服着ているんだ、みたいな意味不明キャラも出てくるが、概ね悪くない。
いや、むしろ、ビジュアルは素晴らしい。

で、最後に重要な酷評ポイント。
そのネタバレをあえて教えておく。
ネズミとゴキブリだ。
舞台版の「キャッツ」でも登場したネズミやゴキブリが、映画ではこれも擬人化されたキャラクターとして人間の顔をつけて出てくる。
舞台版では人間が等身大で演じるが、映画ではちっちゃいサイズで出てくる。
これ、「キャッツ」を知らない人は、相当気持ち悪いだろう。
でも、ネズミもゴキブリも「キャッツ」に出てくるのは必然だし、ネズミ人間やゴキブリ人間が猫人間にパクッとかバリバリッと食べられる悪趣味な演出も、そういうもんだと思って観ればそこまで気持ち悪くないと思う。
ネズミ人間もゴキブリ人間も、そういうのが出てくるもんだと身構えて観れば、ビジュアル的にそこまで気持ち悪くもない。

つまり、だ。
映画「キャッツ」は、舞台版のミュージカル「キャッツ」を、
そのまんま、さらにリアルな猫人間(ネズミ人間・ゴキブリ人間)として映像化した、超一級のエンターテインメントなのである。

あえて、オススメしたい。
僕はマジでラスト10分ぐらいずっと泣いた。
これが「キャッツ」だよ。
うん、「キャッツ」ってこういうもんなのだよ、最初から。

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