自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

鶏卵と松陰

2020年12月26日 | がんこおやじ
国のリーダーが国会で嘘をつき、逃げ隠れできなくなって詫びの言葉を言ったが、それ自体が嘘であり、責任を取ろうともしない。醜悪そのものだ。
 トップがそうだから吉川元農水大臣も汚職にまみれ、逃れられないとわかると仮病を使ってずらかる。それはそうだろう、親分が7年も嘘をつき、汚職にまみれても、シラを切り、少し時間が経てば国民は忘れないまでも静かになるということを学び、実行し続けてきたのだから。
 安倍元首相が「私はシロだ」と言ったから検察は不起訴にしたとはどういうことか。「私はやりました」と言えば起訴したというのか。オレオレ詐欺を捕まえて「私は盗んでいません」と言えば不起訴にするのか。
 そういう馬鹿馬鹿しいことで腹を立てていいことは何もなく、精神衛生によくない。ただアキタフーズの汚職の内容は、動物の命、生き方という点でニュースでは多くを語られないので書いておきたい。
 鶏卵業界は莫大な利益を挙げている、それはコストを可能な限り下げているからで、その意味では有料企業と言える。鶏卵生産ではどうしてコストを下げるかというと狭いケージに鶏を詰め込んで飼育羽数を最大限にするのである。そのため鶏はストレスで健康を損ねる。そうするとすぐに処分して新しい鶏に入れ替える。ぎゅうぎゅう詰めにするために攻撃的になって劣位の鶏を突くので、怪我をする。そうならないために、普通なら飼育数を減らして密度を下げると考えそうだが、業者はそうはしない。怪我をさせないようにクチバシを切るのである。
 こういう飼育動物の実態を暴き、告発したのがピーター・シンガーの『動物の権利』(1975)である。その影響は強く、欧米では飼育動物の環境条件を見直すようになった。それがアニマルウェルフェアである。今は世界がそういう流れにあり、劣悪な飼育は法的に禁じられている。その流れはもちろん日本にも及んでいるが、なかなか改善されない。そこには業界と政治の関係があるのだろうとは思っていたが、まさか大臣室で現ナマを渡して便宜を図ってもらっていたとは。
 同類の汚職は他にもたくさんあるとは思うが、道路工事などと動物の飼育では質が違う。金儲けのために生あるものを虐待し、それに目をつむれと大臣に賄賂をつかませる。そいつは「業界のため」とあたかも私心からではないかの如き発言をしたと報じられたが、まあヤクザの親分というところであろう。それなりに漢気のある男かもしれない。だが、もらった方は実に低レベルな私心である。公的立場を使って私腹を肥やし、責任をとるどころか仮病を使って雲隠れする。こういう人物を「余人を持ってかえがたし」と選び、日本の農林水産行政のトップに据えたのは菅首相だが、こうした体質を作ったのは安倍晋三である。実に汚らわしい。
 長州人という言葉がある。松陰をはじめとして義を重んじるという風がある。山口の人は安倍の言動を見聞きし、彼が−実態は違うが−時に自らを長州人ということにするが、そのことに耐えがたい恥辱を感じているに違いない。

松陰曰く

私心さえ除き去るなら、
進むもよし退くもよし、
出るもよし出ざるもよし。
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