5月3日の玉川上水
ノイバラが咲き始めました。場所によっては多いところもあります。この写真のように黄色いオシベが見える時期は短いようで、たいていは下の写真のように黒くなっています。
ノイバラはwild roseであり、妖艶な赤で何重にも花びらが重なっているあのバラとはまるで違う清楚なもので、バラがいかに品種改良されたかがわかります。もっとも日本のノイバラは白ですが、アイルランドのものはピンクのようです。
アイルランドのwild rose
あの有名なアイルランド民謡「夏の最後のバラ」はこれを歌ったもので、このピンクの花を乙女に見立てて、あの輝いていた花の時期も過ぎ去ったと嘆きます。秋の訪れの哀しさを歌い、人生に重ねています。私のお気に入りはケルティック・ウーマンの次の演奏です。
ヘイリーはもともと美声ですが、この時は特にきれいです。ただ、私は後で出てきて、デュエットでは下のほうを歌うミーヴ(Meav)により惹かれます。完全に溶け合うすばらしいハーモニーです。
この歌は日本では「庭の千草」として紹介され、文部省唱歌として愛唱されましたが、そこでは野ばらではなく白菊になっています。日本人には全く違和感がなく、むしろ原曲がバラと聞いて意外感を持ちます。さらに複雑なのは、タイトルの千草は白菊ではないことです。「庭の千草も、虫の音も」ですから、やはり夏の賑わいを歌っており、さまざまな小さな花が咲いたこの庭に、今は白い菊だけが静かに咲いているというものです。普通ならその白菊を歌のタイトルにしそうなところを千草にし、バラを白菊に変えるなど、訳した人は大胆な人だと思います。