リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

行進曲(1)

2019年11月17日 12時52分43秒 | 音楽系
先週は天皇陛下の即位にともなうパレード「祝賀御列の儀」でした。このパレードに使われたのが、奉祝行進曲令和(北原幸男作曲)と新・祝典行進曲(団伊玖磨作曲)でした。両陛下がオープンカーにお乗りになり、出発するときに奉祝行進曲令和が演奏されました。

沿道では10カ所くらいにわけて新祝典行進曲をリレーでつないでいくという形で演奏されました。パレードのテレビ中継ではずっと行進曲が流れていましたが、車の移動に合わせてリレー演奏するというある意味古典的な方法が取られたわけです。

この団伊玖磨作曲の新・祝典行進曲は1993年の皇太子徳仁親王(現今上陛下)と小和田雅子さん(現皇后)の結婚の儀のパレードのために作曲され演奏された曲です。パレードでずっとこの曲が流れたので、さぞかし両陛下も沿道のみなさんも感慨深かったことでしょう。

この曲には「新・」がついているということはこれがつかない「祝典行進曲」もあったわけで、これは皇太子明仁親王(現上皇)と正田美智子(現上皇后)のご成婚を祝して作曲された曲ですが、実際にパレードに使われたわけではなかったようです。

海外のこういった儀式のために作曲された曲だと、ウォルトンの戴冠行進曲(クラウン・インペリアル)が有名です。これはエドワード8世の戴冠式のために作曲された曲です。ウォルトンは1953年のエリザベス2世の戴冠式の際にも「行進曲宝玉と勺杖」を作曲しています。これら2曲はとびっきりの華やかさの中にも格調を漂わせた英国王室の儀式にふさわしい行進曲です。

団伊玖磨作曲の祝典行進曲、新・祝典行進曲もウォルトンの曲と同様高い格調を保っていますが、少し控えめでしっとりとした曲想に国柄の違いが反映されていて興味深いです。いずれも行進曲の傑作と言えます。

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