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『ポー詩集』(読書メモ)

エドガー・アラン・ポー(阿部保訳)『ポー詩集』新潮文庫

フランス象徴主義の詩人に影響を与えたといわれる、19世紀アメリカの詩人・小説家ポー。「モルグ街の殺人」や「黒猫」で有名だが、詩を読むのは初めてである。

全般的に、暗く不思議な雰囲気の詩が多い。一番印象に残ったの「幻の郷(さと)」という詩の冒頭。

夜という妖怪が、真黒い王座によって
悠々とあたりを覆(おお)い、
只悪心の天使ばかりうろつく、
朦朧(ぼんやり)と淋しい道を通り、
遠く仄暗(ほのぐら)いチウレから
空間と時間を超えて
荘厳にひろがる荒涼とした郷から
漸く私はこの国に着いた。

(p. 59)

旅芸人の子供として生まれたポーは、父親の失踪、母親の病死によって、アラン家の養子になったらしい。幼少期のつらい経験が詩にも表れている。

ポーの40年の生涯には「賭博、飲酒、貧窮」がつきまとっていたようだが、その中から紡ぎ出された詩には迫力があった。

ちなみに、表紙の装画がちょっと怖い。








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