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『東京物語』(映画メモ)

『東京物語』(1953年、小津安二郎監督)

「小津作品は退屈」という評判を聞いていたが、やはり名作である

なんといっても驚いたのは笠智衆。40歳なのに70歳の役をこなしていて、本当におじいさんにしか見えない。

尾道に住む周吉(笠智衆)ととみ(東山千栄子)が東京にいる子供たちの家に遊びに行くものの、イマイチ歓待されずに尾道に帰ることになるが、その後とみが急逝するというストーリー。親をやっかいもの扱いする長女役の志げ(杉村春子)がいい味だしてた。

最も印象に残ったのは、「昔はあんな子じゃなかったのにね」と夫婦で話し合う場面。

「あの子ももっとやさしい子でしたがの」
「欲いやきりながい。まあええほうやろ
「ええそうですとも」
私ら幸せな方やろ
「そうですとも」
(たしか、こんな会話)

現実に直面して少し悲しむけれども、ポジティブに捉え直す。「足るを知る」ことが幸福感につながるのだ。

朴訥とした笠智衆の演技が心に沁みる映画である。







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