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『クラゲの光に魅せられて』(読書メモ)

下村修『クラゲの光に魅せられて』朝日新聞出版

2008年のノーベル化学賞を受賞した下村先生。受賞理由は、GFPの発見だ。

GFP(緑色傾向タンパク質)は、タンパク質に印をつける道具として、遺伝子研究では欠かすことのできないものだという。

ただ、GFPは計画して発見されたものではなく、発光クラゲの研究中に副産物として発見されたらしい。下村先生は次のように語っている。

「GFPはきれいな緑の蛍光を放ちますが、用途が見つからず、美しいだけが取柄でした。それが遺伝子研究の進歩で急変し、世界中で使われるようになりました。」

「いま自分の過去を振り返ってみますと、私のGFPの発見は、天の導きによるものであり、天は私を使って人類にGFPを与えたのではないかと思います。」

運命の分かれ道は、下村先生が大学を卒業した後、長崎大学薬学部で助手をしていたときにさかのぼる。先生は1年間内地留学することになり、指導教官につきそわれ名古屋大学に行った。そのとき、予定していた教授がおらず、ついでに訪れた平田教授から「いつでも来なさい」と言われたらしい。

下村先生は次のように振り返っている。

「私は平田先生の言葉は天の導きかもしれないと思い、「平田研」に行くことに決めました。この決定が、私を生物発光研究に導いたことになります。」

人生にはいくつかの分かれ道がある。その分かれ道で「天の導き」を感じることができるかどうか。それが、天職にめぐり会うかどうかを決めるのかもしれない、と思った。
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